61 ページ16
緑間くんに引っ張られるまま、歩き続けること数分。彼はこちらを振り返ることなく、ずっと黙ったままだった。私からは彼の大きな背中しか、見えない。
ふと彼に掴まれている左手首を見る。彼の手はやはり大きいのか、しっかり包み込まれていた。離さないようになのか、力が入っているのが、分かる。でも、振り解けばすぐ話してくれそうな力加減でもあった。
「……何も、聞かないの?」
私は徐にそう呟く。
「……誰だって言いたくないことの、一つや二つあるのだよ」
こちらを振り向くことなく、ただ前を向いてそう言った彼。つい、その優しさに甘えてしまいそうになった。
「……でも、これ以上、私は緑間くんに借りを作りたくないから……話すよ、全部」
そういうと、緑間くんは立ち止まった。そして、私の方へ体ごと向いた。私は彼の顔を見上げて、目を合わせた。
「ちょっと長くなるけど、聞いてね」
私はそう言って笑った。
ーーー小学生の頃、私はそれなりに占い好きだった。図書館で借りる本は、占い関連が多かったし、おは朝占いもよくチェックしていた。
小学4年生の時、好きな人ができた。その話をすると、梨花からも好きな人ができたと聞いた。
最初は相性占いみたいなものをして楽しんだ。だけど、占いをしているうちに、私たちが好きになったのは同じ人だということがわかった。
それから、私は梨花に好きな人の名前を言うのをやめた。
梨花はそれに気づかず、小5、小6の時それぞれ、好きな人が出来たと私に報告してきた。その時報告された人たちは、私も好きだと思っていた人たちだった。
中学の頃、私と梨花は男子バレー部に所属していた。マネージャーとして。
中学に入ってからは恋愛に関することは考えておらず、しばらくは梨花とそういう話をすることも無くなった。
30人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時