キスしなきゃ出られない部屋 ―KP― (ページ1)

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平野 × 永瀬ページ1

平野side

「……なあ紫耀、これ」

　廉が指差す紙に目線を送ると、そこには『この扉はキスしないと開きません』の文字。

「ええ、嘘だろ」

　そんなわけあるかと思ってドアノブをガチャガチャいじくってみたけど、開きそうにない。

「扉壊す？たぶんこれ普通にバキッていくよ」

「やめとけ破壊神」

「いや、俺だってなりたくて破壊神になったわけじゃないから！俺が触ったら、なんか勝手に物が壊れるんだよ」

「今は壊しにいこうとしてたやん！」

「まあ今はそうなんだけど」

「……って、それはええねん。どうする？」

　我に返った廉が話を戻す。

　壊しちゃダメなら、もう方法は一つしかないんだけど……。

「キスする？」

　俺の提案に廉の顔が固まった。

「……ガチで？」

「そうしなきゃ開かないじゃん。壊していいなら壊すけど」

「究極すぎるやろ。……まあ、じゃあ……するか？」

　頭を掻きながら承諾された。これは照れてるな。

「おう。……いい？」

「……ん」

　廉が頷いたのを確認し、俺は廉の肩に両手を置いて顔を近づけていく。

もうすぐ唇が触れるというところで、廉が目を閉じた。俺もそれに倣って目を閉じ、そっと触れるだけのキスを落とす。
　
それから数秒して顔を離したら、二人の目が合った。その視線はすぐに逸らされたけど、赤くなった頬を見れば、そんな動作もただの照れ隠しだということがバレバレ。

「ふはっ、なに緊張してんだよ」

「してへんわ！ほら、開いたし出るで！」

　絶対してるじゃん。

　強がるその姿に可愛いなあとちょっとだけ思いながら、部屋を出て行く廉の後を追った。

―END―