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「Aー。加藤くんが呼んでるよ」
「え？加藤くん？」
いつも通りの昼休み。
お昼ご飯食べようかなー…と思ってお弁当を広げようとしたら友達に声をかけられる。
加藤くんとはけいちゃん経由でよく話をすることがあったから、会えば話すみたいな仲。
そんな加藤くんが私に用事ってなんだろう。
前の入口に立ってる加藤くんを見つけて声をかける。
「加藤くん」
「あ、A。ごめん、わざわざ呼び出してもらって」
「それは大丈夫なんだけど…。どうした？」
「小山さんってどこいったか分かる？」
「けいちゃん？」
「うん。教室見当たらなくて」
「今日委員会があるって言ってたと思う」
「あ、まじ？」
じゃあ俺弁当1人か〜……なんて言う加藤くんの手元にはお弁当があって。
いつもけいちゃんとお昼を食べてて、今日も一緒に食べるためにうちの教室まで来てたんだと思う。
「Aは誰かと食べる約束とかある？」
「ないけど」
「んじゃあ一緒に食お。1人だとつまんないし」
「……え？」
「…ごめん、嫌だった？」
「嫌とかじゃ無いんだけど、」
けいちゃんとかそれこそ愛菜も一緒に、っていう何人かだったら一緒に食べたことはあるけど2人きりっていうのはお昼だけじゃなくても初めてで。
少し、戸惑う。
「あと、Aにちょっと聞きたいことあるし」
「そうなの？」
「うん。だめかな？」
「…分かった。何処で食べる？」
「いつも小山さんとは屋上で食べてるから屋上行こう」
「じゃあお弁当とってくるね」
自分の席に戻ってお弁当と携帯だけ持って加藤くんの方に戻る。
昨日のけいちゃんといい、加藤くんといい、なんだか人から話があるとか聞きたいことがあるだとかよく言われるな〜なんてお気楽なことを考える。
少しは、けいちゃんのこと、吹っ切れてきたのかな。
屋上でお昼を食べるのは少し久々で、屋上に来る度、高校生っぽいなぁ〜なんて考えてたことを思い出す。
「うわっ……。日射しやば、」
「もう9月だっていうのにね」
「ほんっと。日陰入ろっか」
ちょうど物の陰になってる所に行ってそのまま地べたに座る。
何も気にせずに座った私を見て少しだけ加藤くんが笑っていた気がする。
……こういうところで、少し気にして座れたりするような女子だったら、けいちゃんが好きになってくれたのかな。
なんて、可能性のない未来を考える。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
