＊ ページ39
川島「深澤くん、失礼しますね」
深澤「……如恵留？」
川島「はい、如恵留です。お部屋入ってもいいですか？」
深澤「…うん」
珍しく陽の光を浴びたくなって、縁側に腰掛けていると聞きなれない声がした。
薬屋であるという川島は、深澤のすぐ後ろにまで来ると「お隣いいですか？」と声をかける。
礼儀正しい子、それが彼の第一印象だった。
隣に座った川島は、「今日もいい天気ですね〜」なんて呑気に話しかける。
今まで色んな世界を過ごして、初めて現れた「仲間に似た8人」以外にこんなに話しかけてくれる人。
深澤は、川島の存在が良くわからない。
もう何度も繰り返した「非現実的な事」に慣れてしまった所為か、頭の中で色々齟齬を生んでいるような感覚だ。
川島「眠れるようにはなりましたか？」
深澤「…前よりかは、マシだけど」
川島「あの薬草、あまり効果はありませんでした？」
深澤「…毎日、30分くらいは寝れるようになったよ」
川島「毎日睡眠を取れるようになったんですね。それならよかったです」
深澤「……よかった、なの？」
川島「ええ。続けていけば、きっと1時間、2時間って眠れるようになるはずです」
ニコニコ笑いながら、川島は薄い紙に包んだ薬草を深澤の手にそっと置く。
川島「深澤くんは、多分心が泣いてるんです。辛いって、助けてって」
深澤「…」
川島「それで、眠れなくなっちゃってるんだと思います」
まあ僕はお医者さんじゃないから、推測なんですけどね。と付け足して、彼はこちらを覗き込む。
深澤「……ねぇ」
川島「何ですか？」
深澤「…いつか、照とちゃんと話せるようになる？」
初めて出会った、誰にも重ならない彼だからこそ聞けた質問なのかもしれない。
こんな事、ここにいるメンバーには聞けない。
川島「ええ、いつか。深澤くんの心が泣き止んだら」
優しい音色で返す川島に、深澤は「…そっか」とだけ言葉を返した。
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賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (
レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます！全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年6月1日 17時
