三人 ページ36
善野さんはとても申し訳なさそうな顔をして、目を伏せた。
「本当にすまない。…その、……君の、望みを、叶えてあげられなくて」
「いえ、善野さんは悪くないです。……俺が、彼奴を追い詰めてしまった。Aを助けることができなかったから……」
「それは違うよ、陽雅君。あの時、君が庇わなければ、僕は死んでいたかもしれない。僕だけじゃない、他の警官達も、もしかしたら…。だから、君は正しい事をしたんだよ」
「………………はい。…そう、ですね」
俺は、今にも泣き出してしまいそうだった。
そして、気づいていた。
Aは自分から、命を絶ったんだと。
俺が、その引き金になってしまったと。
……全部、わかっていた。
それを知られまいと、必死になって善野さんから顔を背けた。
「…………」
「…………」
嫌な沈黙が続く。
その時、病室に、看護師さんがワゴンを引いて入ってきた。
「朝日さん、点滴取り替えますねー」
「あ、はい」
「じゃ、じゃあ、僕は自分の病室に戻るよ」
そう言って、善野さんは足早に病室を後にした。
看護師さんは点滴を取り替えながら、心配そうに聞いてきた。
「なにか、あったんですか?」
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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね!ご指摘ありがとうございます! (2015年11月7日 1時) (レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)
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