十羽 ページ29
その死体は、かなり酷い状態だった。
死後何ヶ月か経っているのか、一部が白骨化しているし、そこら中がカラスか何かに食われていたらしく、顔すら分からない。
けど、服装や体つきでなんとなく女だという事は分かった。
けど、コイツはAじゃない。
「……なあ、A……。お前本当に死んじまったのかよ……」
もし死んでんなら、化けてでも出てこいよ、馬鹿野郎……！
カラスの鳴き声がうるさかった。
すぐ近くで沢山の声が聞こえる。
「っうるせえ！」
俺は後ろを向いた。
沢山のカラスが其処にはいた。
でも次の瞬間、そいつらは一斉に羽ばたき、残りは一羽しか残らなかった。
普通より少し大きい位の、真っ黒いカラス。
そういえば、アイツもこれくらい真っ黒の髪をしていた。
………え？
「………お前、Aか？………そうだろ？なあ！答えてくれ！」
カラスはそれまでずっと俺を見つめていたが、ふと少し下を見たかと思うと、羽をばたつかせ飛ぼうとし始めた。
「待ってくれ！」
触れようとするも、Aが飛んでしまって触れる事は出来なかった。
俺はひたすらAに呼び掛ける。
「もう、一人は嫌だ！光里がいなくなって、善野さんが死んで、お前までそっちに行っちまったら、俺は、どうすれば…！」
けれど、もうAが振り返る事は無く、そのまま飛んで行ってしまった。
「………っ」
なんで、お前まで俺を置いていってしまうんだよ。
俺はその場に座り込んだ。
ふと、すぐそばにある死体を見た。
「……綺麗な茶髪」
まるで、光里みたいな………。
「…………ん？」
腕……手首、か？
なにか付けてる……。
「……ブレスレット？」
所々、ちょっと緑がかった大きめの石や、水色の羽の飾りが付いている、青いブレスレット。
何処かで見覚えがあるような……。
「…！！」
そうだ、思い出した。
これは、俺が光里にあげたもの。
じゃあ、この死体は、光里……？
「…ぅあっ、ああああ！！！」
俺は叫んだ。
叫んで、泣いた。
「ああああああああああ！！！」
とうとう孤独になってしまった俺に、もう手を差し伸べてくれる人はいなかった。
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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね！ご指摘ありがとうございます！ (2015年11月7日 1時) (
レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)
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