本当の恋に落ちた日【川村壱馬】 (ページ17)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:102,174 hit

―拒絶は標的― ページ17

壱馬ｓｉｄｅ
　《いやッ…！！》

　《・・・ごめ…んなさい》
　
　あいつの発した言葉に疑問を持った。

　俺があいつに手を差し伸べたのも驚くがあんな拒絶の仕方は初めて見た。

　今までも血の苦手な女はたくさんいたが、あそこまでの女は見たことがない。

　それに、震えて過呼吸になるほどだ。

　よっぽどのことがない限りそこまでの症状は出ないだろう。

　考えられるのは、昔トラウマになるような何かがあったということだ。

北人「なぁ壱馬。木ノ瀬ちゃんのことはあきらめな」

壱馬「なんで」

北人「さっきの状態見ただろ。もしお前があの子と付き合って今までの女たちと同じことをしようとしてるなら俺は全力で止める」

壱馬「珍しいな。北人がそんなこと言うなんて」

北人「確かに俺たちのしてきたことは最低なことかもしれないけど、俺たちと付き合ってまた同じ状態になったらどうすんだ？そのうち死んじまうぞ」

慎「悪いけど、俺もそう思う。これ以上意味もなく彼女が苦しむのは筋違いだ」

　北人と慎にしては真面目なことを言っている。

　もちろん俺だってそこまで最低な人間じゃないからこれ以上のことはしないだろう。

　でも、どうしても彼女のことを知りたくなってしまうんだ。

北人「さ、次のターゲット探しますか」

慎「そうだな」

壱馬「いや…俺はあきらめねぇ」

北人・慎「はぁ？」

壱馬「さらに面白くなってきたじゃん」

　自分でもこれ以上の詮索はいけないことくらいわかっている。

　でも、俺の中の興味はさらに増すばかりだった。

北人「はぁ…そういうと思った」

慎「Aちゃんについて調べてみますか。珍しく本気の壱馬さんのために」

壱馬「うるせぇ」

　ただの興味としか今は言えない。

　ほかの感情なんて何もないのだから。