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四十六話 ページ6

「お、多くない…?」


「何よこの量……何者なの?あの人」


「あの…手伝いましょうか?」



炎柱の食べた弁当の空き箱、約十五箱。


片付けに来た弁当屋の店員二人にAが申し出ると、



「あっ、いいえ。大丈夫ですよー」


「偉いねぇ。ご両親の教育がちゃんとしてるのね」



小さな子供を相手にするかのようにあしらわれた。


確かに彼女は童顔である。だがしかし、そうやって子ども扱いされる事が滅茶苦茶嫌いでもある。



「…」


「お姉さん達は大丈夫だから。ありがとうねぇー」


「…」


「ちょっとA。そんな怖い目で見ちゃ駄目だろ」


「…あいつら俺を馬鹿にしやがった」


「あの人達に悪気が無かったことぐらい分かってるだろ?お前何気に伊之助に似てるな」


「…」


「ちょっと嬉しそうな顔してするんじゃありません!」



みたいなどうでもいいやり取りを善逸としていると、列車がゆっくりと動き出す。



「俺の所で鍛えてあげよう!もう安心だ!!」


(面倒見の良い人だな……でも、どうしよう)



一方、炎柱の継子勧誘に炭治郎は少し困惑していた。


ヒノカミ神楽については知らないと言われ、自分の刀の色が黒だと告げれば継子に勧誘される。


どうやら炎柱は人の話を聞かない節があるようで、このまま行けば炭治郎は彼の継子になる。


そのつもりは全くない炭治郎、助けを求めるようにAを見やった。



「うおおおおお!!すげぇすげぇ速ぇ!!」


「危ない馬鹿このッ」


「俺外に出て走るから!!どっちが速いか競争する!!」


「馬鹿にも程があるだろ!!おいAも何か――」


「……凄い…」


「あ駄目だわ!完全に景色に見惚れちゃってるわ!!」



都会に住んでいたAも、実際に列車に乗るのは初めてだそう。


普段は暗いその瞳も、今はキラキラ輝いてしきりに動いている。


それこそ、純粋な子供のように。



「おい見ろよ炭治郎!もうあんなに駅がちっさいぞ!!」



その自然な笑顔を前に、炭治郎は何だか温かい気持ちになる。



「…そうだな」



炭治郎はふわりと優しく微笑んだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:名梨 | 作成日時:2020年1月12日 18時

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