期限付きで家事代行いたします。【櫻井孝宏】

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Youside


16時ちょっと前、櫻井さんに言われた台本を片手に約束していたビルの前で待っていると、一台の車が目の前で止まり、櫻井さんが運転席から出てきてくれた。


最後に会ったのは櫻井さんのお仕事がお昼からの日で、朝少しだけ一緒になった。
何らいつもと変わらないが、数日ぶりに会うことと、初めて外で会う、というだけで少しドキドキしてしまうのは気のせいだろうか…。




「Aちゃん！ごめんね、本当にありがとう」


『いえ！…はい、これで間違いないですか？』


「うん、大丈夫だよ。ほんとAちゃんいて助かったよ。いつもだったら諦めてそのまま現場行くとこだった…」


『いえいえ、これくらいいつでも言ってください！』


「いつも台本忘れてたらダメなんだけどね笑 でもありがとう」





櫻井さんはいつもの笑顔でそう答えてくれると、私の頭に手を伸ばそうとして、はっと、「ごめん、ここ外だった」と気まずそうに手を引っ込めた


初めて会った時も私の頭に手を乗せて少し撫でてくれた。櫻井さんの癖なのかな？
でも、そうだよね、櫻井さんは声優さんであまり姿の露出が少ないと言えども超有名売れっ子声優なんだから、櫻井さんのことを知ってる人が周りにいてもおかしくない。
ていうか私なんかがここで堂々と話しててもいいのだろうか？？


でも私に、不意ではあるけど触れようとしてくれたことに全く悪い気はしないし、寧ろ嬉しい。





『……また、お家にいる時にお願いします。』




恥ずかしかったけど、ちらりと櫻井さんを見上げながらお願いすると、櫻井さんはびっくりした様に目を見開いた後、ふわりと笑うと「わかった」と答えてくれた。




「Aちゃん、今日夜何してるの？」


『今日ですか？うーん、この後また櫻井さんのお家に戻って洗濯物を取り込んだらそのまま帰るつもりでした。』


「じゃあよかったらさ、今日一緒にご飯行こうよ」


『え！？』


「今日のお礼、させてくれる？」


『そんなお礼だなんて！当たり前のことしただけですよ！』


「俺がしたいの！ね、一緒に行ってくれる？」


『……私は勿論かまわないですけど……』


「よかった、じゃあ決まりね！最後の仕事終わったら迎えに行くからそのままウチにいてくれる？多分19時過ぎくらいになると思う」


『わ、わかりましたっ』


「ふふ、これを楽しみに仕事頑張れそう」



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