54話 ページ5
類/司「ッ！！！」
3年前…Aの元へ来なくなった時期の合致する。
姉「自ら命を絶ったの。…学校の屋上から飛び降りてね」
司「っ自ら…」
姉「だから私その学校に行って屋上まで行ってみたの…そしたら……屋上って思っているより凄く高いのね。…凄く怖かった…ここから飛び降りるなんて到底できっこない。それにかなりの勇気がいる。いや、勇気なんて生ぬるいものじゃないわ。覚悟、と言った方が正しいのかもしれない。」
姉「でも、そんな事よりも死を選んでしまうほど辛かったのだと思えば思うほど…私は…ッ」
そう言って崩れ落ちるように泣き出す彼女にハンカチを差し出す。
こういう時、なんて声をかければ分からなかった。
Aがもし…そうなってしまったら……
類「お辛いでしょう。でも…だからこそお話を伺いたいんです。このままだとAが、湊人くんと同じ道を辿ってしまうんです。」
その言葉に覆っていた顔をあげ驚いたような表情を浮かべる彼女
姉「それは、本当なの…？」
僕と司くんは頷く。
姉「簡潔に言えば湊人は虐待を受けていたの。」
"虐待"
そのワードにその場が凍りついたのが分かった。
姉「私はその時にはもう既に一人暮らしをしていたから被害を受けなかった…けど、学生の湊人はあの家から逃げ出せなかった。」
司「気付かなかったんですか…？」
恐る恐る司くんが尋ねる。
姉「気付いてはいたの。私が家を出たのもお母さんが変わり始めてしまったからというのも理由の一つだから。それにたまに湊人がここに逃げるように来ることがあったから分かってはいたの。怪我の感じも明らかに不自然だったから。」
類「それなら何故、連絡しなかったんですか？」
質問攻めな上に棘のある質問ばかりかもしれない。
けれど、理解ができなかったのだ。
姉「言わないでくれと、湊人に言われていたの。"俺は大丈夫だから"、"後々がめんどくさいから"、"周りにバレたくないんだ"、"だからお願いだから言わないで"。」
類「それは…」
姉「こんなことも言っていたの。"Aと離れたくないんだ"って。」
類「っ！！」
姉「湊人は本当にAくんの事が大好きみたいでここに来るたびAくんの事ばかり話して…幸せそうだったの。湊人がなんと言っても連絡しようと思ってた、でも！！…湊人のあんな幸せそうな顔見てたら…あの子の幸せを奪うような真似、できる訳ないじゃない…っ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 513人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハデス - 奏斗との歪んだ共依存が露呈というよりは垣間見える感じでとてもリアルでとても面白かったです。完結おめでとうございます！！神作です！！ (7月12日 13時) (
レス) @page22 id: b5ef1167b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした。最後のバットエンドで類くんだけでなく司くんまでもがラブドールの主人公を本物と錯覚？してしまい抱きしめるところはゾクッときてしまいました。とても楽しく読ませていただき、とても夢中になる作品でした。 (2023年4月11日 0時) (レス) @page23 id: 62d4ca850a (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます…とても最高でした…それにハッピーエンドからノーマルエンドバッドエンドまで見せていただけて本当に嬉しいです…次作や続きがありましたら幸いです… (2023年4月10日 1時) (レス) @page23 id: ff2512c7cb (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - うわぁもう最高でした…ありがとうございました… (2023年4月9日 7時) (レス) @page23 id: cdedb7c8a1 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - mさん» そう言って頂きありがとうございます！もうすぐで終わりを迎えますのでそれまで何卒よろしくお願いします！！ (2023年3月31日 17時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甲殻類アレルギー | 作成日時：2022年12月26日 18時
