最終話6※バッドエンド※ ページ22
〜天馬 司side〜
-類の部屋前-
類「すまなかった。機嫌を直しておくれ」
類の声が微かに廊下へと聞こえてくる。
類「それでAの機嫌が直るのならいくらでも買ってくるよ」
A
その言葉に思わず扉を開けてしまった。
類「おや、司くん達じゃないか。久しぶりだね」
開けない方が良かったと後悔した。
司「類お前…ッ！！」
類「どうかしたのかい？」
そうきょとんとした顔でこちらを見る類に背筋がゾッとした。
え「るい…くん…、？」
寧「類…っ」
類の部屋を見たえむ達が後ろへと後退りする。
類の目の前に座っているもの
否、"置かれている"それはもうとっくに亡くなっているAに酷く似た男型のラブドールだった。
きっと特注で作って貰ったのだろう。
目の前で繰り広げられているこのママごとのようなそれに吐き気を覚えれば階段を駆け下りお手洗いを借りる。
Aが亡くなった日から類はまるで魂が抜けたも当然な体へとなっていた。
呼びかけにも反応せず永遠にAの部屋へと引きこもっていた。
きっとそんな時にラブドールの広告を見たのだろう。
それからなのか類は徐々に学校へと顔を出すようになり俺たちも何とか吹っ切れて居たのだろうと思っていた。
思ってしまっていたんだ。
もう一度類の部屋の前へと戻って来れば類は満面の笑みで目の前のラブドールに話しかける。
類「Aが好きそうだと思ってケーキを買って来ていたんだ。Aはこのケーキが良いと思ったんだけれど違うのが良かったかい？」
そう目の前で動く事のないラブドールに話しかける類はとても幸せそうで心なしか俺にもAの声が聞こえて来たような気がした。
『司もこっちでケーキを食べようよ』
司「…あぁそうだな。」
足を類の部屋へと進める俺に寧々達が静止するような声を掛けるがそんなことが耳に入らないほど目の前のAから目が離せなかった。
見れば見るほど生きているかのようなそれに思わず抱きしめる。
司「もう勝手に居なくならないでくれ。A」
その言葉に類が反応する。
類「ああやっぱり司くんも………
Aを愛していたんだね。」
end.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 513人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハデス - 奏斗との歪んだ共依存が露呈というよりは垣間見える感じでとてもリアルでとても面白かったです。完結おめでとうございます！！神作です！！ (7月12日 13時) (
レス) @page22 id: b5ef1167b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした。最後のバットエンドで類くんだけでなく司くんまでもがラブドールの主人公を本物と錯覚？してしまい抱きしめるところはゾクッときてしまいました。とても楽しく読ませていただき、とても夢中になる作品でした。 (2023年4月11日 0時) (レス) @page23 id: 62d4ca850a (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます…とても最高でした…それにハッピーエンドからノーマルエンドバッドエンドまで見せていただけて本当に嬉しいです…次作や続きがありましたら幸いです… (2023年4月10日 1時) (レス) @page23 id: ff2512c7cb (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - うわぁもう最高でした…ありがとうございました… (2023年4月9日 7時) (レス) @page23 id: cdedb7c8a1 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - mさん» そう言って頂きありがとうございます！もうすぐで終わりを迎えますのでそれまで何卒よろしくお願いします！！ (2023年3月31日 17時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甲殻類アレルギー | 作成日時：2022年12月26日 18時
