第101話 悪夢の花園8 精霊の空間 ページ5
ﾕｳｷ「今度は誰の記憶だろ...？」
光を抜けるととてつもなく大きな森
キラキラと緑が輝いていて
植物の精霊らしき人たちが楽しそうに笑いあっている
しかし楽しそうなその足元には
森の侵入者の骨らしきものが、散らかっている
笑顔の裏の恐ろしさを少し感じ
そらすように目線を上にあげると
そのさまを
見慣れた常磐色の瞳が木の上から見下ろしている
ﾕｳｷ「オスマンさん？」
ｵｽﾏﾝ「よんだ？」
ひょこっと後ろから"今"の彼が現れる
ﾕｳｷ「わっ！ビックリした...」
ｵｽﾏﾝ「ふふ、なーんでユウキが俺の夢の中にいるの？」
ﾕｳｷ「あ、それは...」
言いかけたとき、景色が動く
荷物を手にした記憶のオスマンさんが
森の入り口をその手で破壊し、森に背を向け歩みだす
ﾕｳｷ「な、なにを...」
ｵｽﾏﾝ「あぁ...俺なぁ嫌いやったんよ、人が、人間嫌いってやつかなぁ...仲間だと偽って俺を見下す他の奴等がﾄﾗｳﾏで」
だから、故郷である森を傷つけてそこを離れたのか...
ｵｽﾏﾝ「だからずっと嫌いを笑顔で誤魔化して、木上で奴等を逆に見下して、結局森から逃げて、今見ると惨めやな」
ﾕｳｷ「...オスマンさん、ここは過去の記憶でその人を捕らえる、夢の、意識の空間で」
ｵｽﾏﾝ「知ってるめう〜」
ﾕｳｷ「そ、それじゃあ帰りましょうよ」
ｵｽﾏﾝ「でもなぁ、帰ったらいけんような気がするんよ、俺を怨む人から、また逃げてるみたいで」
いつものように笑いもしないで、オスマンさんは低く言う
それを見ていると
俺もなにも言えなくなりそうになって...
第102話 悪夢の花園9 精霊の空間、花→←第100話 悪夢の花園7 魔族の空間、花
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作者名：夜月ルナ | 作成日時：2020年1月23日 9時
