LET'S GO！ ページ48
服に袖を通し、長く伸ばしてある髪を一つに纏める。銀色のそれに黒いゴムは些か目立ってしまうが別段気にするべきことではなかった。
アルパルガータの紐を少しキツめに結び、動き心地を確かめる。問題がないことを感じ、ナップザックを肩にかけてそれまで滞在していた宿を出た。
『ハンター試験、か……』
家出したキルアがそれに申し込みを入れていたことがミルキの調査で判明した。ハンター協会の、それも個人情報データベースに不正アクセスしたために危ない橋を渡ったそうだがデータだけ引き抜くことに成功したらしい。
空港に向かい始めるが、そこで端末が着信を告げた。
「久しいな」
『クロロか。どうした』
もう二年か三年ほど会っていなかった男の声がした。別端末で船の手配をしつつ耳を傾ける。
「仕事の目処が立ってな。でかい仕事になりそうなんだ」
『何度も言うが私はお前の下につく気はないぞ』
「ああ、重々承知しているさ。だから今回は“協力”でいい」
オレに恩、あるだろ？と６年前のイルミを真似て奴は告げる。
『ふん！相変わらず性格がメビウスの輪のように捻れているな』
「乗るか？」
『……時期によるな。弟が家出した。だからここ数ヶ月は無理だ』
「そんなに急な話じゃない。九月を予定している」
『場所は』
「ヨークシンシティ」
馬鹿かこいつは、と溜息を吐くが出て行ってしまった息は白くなった後に霧散した。
九月のヨークシンシティ。それが示すのはただ一つだけだ。
『オークションか。しかし品目はまだ決まってないだろう。何を盗るつもり…………』
そこまで言って言葉を止める。まだ決まっていない出品物。なのにも関わらずクロロは九月のヨークシンで物を盗ると言っている。
『まさか、お前』
「気がついたか。早いな。当日まで団員にも黙っておくつもりだったんだが」
『前から思っていたが享楽主義な部分があるだろう』
「盗賊に何を言う」
『それもそうか』
“恩”を提示された以上、私に断るという選択肢は無い。能力云々の話ではなく、私自身がそうしないと気が済まないのだ。
『参加しよう』
「詳しいことはまた後日連絡する」
通話を切り、目を瞑る。
大きな仕事だと言っていた。フェイタンはきっと、来るのだろう。
ここ暫く退屈していたが、現実はやはり急に動いてくれるもなのだと実感する。これだからこの世界を私は愛でるのだ。
心臓に巻きついた龍が嬉しそうに鳴いたような気がした。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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