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STORY☆54 ページ4

『お風呂出た』
風呂から出てきたAちゃんは淡い色の部屋着に着替え、まだ乾き切ってない髪と肩にタオルを掛けた格好でリビングに戻って来た。
風呂に入った事で余計に眠くなってしまったのか、立ったまま眠ってしまいそうなAちゃんを1度ソファの手前の床に座らせて、遠慮がちに脱衣所からドライヤーを見つけてそれを手に取る。
zm「Aちゃん、髪乾かすで」
『んー…』
俺は自分足の間にAちゃんが収まる位置のソファに腰かけ、Aちゃんの細い髪に触れてドライヤーのスイッチを入れたら、風に乗ってふわっと香るシャンプーの匂い。
その匂いに脳は甘く痺れて目眩を起こしそうだから、手早く丁寧に乾かしてからドライヤーを止めた。
乾かし終わった事をAちゃんに声掛けても返事が無くて、完全に寝ているAちゃんを起こさないようにソファから立ち上がり、風呂に入ってる間好きに観ててと言われていたテレビを消す。
テレビを消して部屋から音が消えるとAちゃんは目を覚まし、『…テレビ、消さないで』と小さく呟く。
zm「寝るんならテレビ消さな音うるさいやろ?」
『……誰かの声が無いと寝れないから…消さなくていい』
Aちゃんはそう言ってフラフラとしながら立ち上がり、
『遅くまでごめんね。もう大丈夫だから』
そんな事言うけど、少しも大丈夫そうには見えない。
zm「何が大丈夫なん?1人が嫌なら嫌って言ってや。さっきみたく帰らないでって言ってや。俺にだけは甘えてええから」
俺がAちゃんに近付けばAちゃんは俺を力強く抱きしめて、
『…ゾム。私が寝るまで一緒に居てくれる?手握ってくれる?私の事、暗い部屋に1人にしない?』
多分これは全部Aちゃんが両親に言いたくて言えなかった事。
1人で抱えて我慢して耐えてきた心の均衡を、崩してしまったのは俺のせいなのかもしれない。
だけど、俺に本当のAちゃんを晒しだしてくれて嬉しかった。
zm「Aちゃんが寝た後も一緒に居るよ。Aちゃんが俺の手離しても繋ぎ直すよ」
俺はAちゃんを抱えてAちゃんの部屋に向かう。
ドアに"Aの部屋"と幼い字のプレートが掛けられていたから直ぐに分かった。
俺にしがみつくAちゃんに声を掛けてから部屋を開けたら、生活感の無いリビングとは真逆の女の子らしい部屋と、ベッドに並べられた幾つものぬいぐるみ。

今更Aちゃんの奥底にあった核に触れて、俺は愛しさと共に言葉に出来ない気持ちが芽生えた。

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作品ジャンル:恋愛
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです!読むはじめて損しませんでした!テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます!もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています! (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます!私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(;;)!更新頑張りますね!ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:呉城 莉李。 | 作成日時:2022年9月22日 12時

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