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少し離れた所に、両手を切断し、頸に師匠の刃が食い込んだままの猗窩座が着地していた。
そしてそのまま陽の光から逃げ行く猗窩座に、炭治郎が刀を投げ付けた。
猗窩座に見事刺さり一矢報いたものの、猗窩座にとっては、痛くも痒くも無いだろう。
「逃げるな、卑怯者!!逃げるなァ!!」
炭治郎が猗窩座に叫ぶ
お前ら鬼に有利な夜に戦っているんだ、と。
煉獄さんは、凄いんだ、強いんだ、負けてない!誰も死なせなかった!と。
『師匠っ!!』
あんな卑怯者などは、もうどうでも良い!
今は師匠が先だ!
這い蹲りながらも、膝をつく師匠の元へ行く。
『し、師匠…。師匠、師匠!い、今、ぉ応急処置しますから…っ、呼吸で止血を…、あ、ぁ…っ。』
ボロボロの師匠の前に手は震え、涙で良く見えない。
一体どこから応急処置をしたら良いのか…
『ご、ごめんなさいっ、私が、私が弱いばっかりに…。ぅ…っく、助太刀することが出来なくて…。師匠を見殺しに…っ、したようなものです…継子失格です…。』
「Aは俺の自慢の継子だ。君は君の責務を全うしたまでだ。良くやった。」
「煉獄さんの勝ちだ!!」
炭治郎の叫び声が私の耳に届く。
『ふ、ぅっ、師、師匠のっ…勝ちなんですっ!!だから…っ、だ、からっ…』
ーーーー死なないで下さい
この声は、炭治郎の叫び声にかき消された。
炭治郎が叫ぶのをやめると、少しの静寂が訪れた。その時、ふっ。と師匠が少し笑った。
「もうそんなに叫ぶんじゃない。
腹の傷が開く。君も軽傷じゃないんだ。
竈門少年が死んでしまったら俺の負けになってしまうぞ。
こっちにおいで。最後に少し話をしよう。」
炭治郎が、師匠の目の前に座ると話し始めた。
思い出した事がある。と。
朝日が昇り辺りが明るくなり始めると、猗窩座の腕がボロボロと消えなくなった。
それにより、貫通した所から出血が始まる。
『あぁ…師匠…!呼吸をっ!』
「もういいですから、Aさんの言う通り、呼吸で止血をしてください。傷を塞ぐ方法はないですか?」
おろおろする私と炭治郎をよそに、師匠はきっぱりと
「無い。俺はもうすぐに死ぬ。」
と言い、話を聞いてくれと言う。
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こっちゃむ(プロフ) - 柑橘系さん» 柑橘系様、コメントありがとうございます! そんな褒めて頂けるとは!有り難い限りです!実は、本編終了後の方がメインだったりします。笑 楽しんで頂けたのならば、作者冥利につきます。(*^^*) 最後まで目を通して頂き、ありがとうございました!(*^^*) (2020年10月27日 22時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
柑橘系 - え、、、??貴方様は天才ですか????本編終了後とかもあるなんて最高じゃないですか!!すごいです!!!尊敬します!! (2020年10月26日 21時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 飛鳥さん» 飛鳥様、コメントありがとうございます!良く分かりましたね!!(*^^*) 替え歌です!気付いて頂けて嬉しいです(*゚∀゚*) ハッピーエンドで終わらせる事が出来て良かったです(^^) 2人は幸せに暮らしていきます!(^^) 目を通して頂きありがとうございました!(^^) (2020年1月20日 7時) (レス) id: 28f6e76fef (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - 途中のはやはり紅蓮華の替え歌でしょうか!?最後!!結ばれて良かったです....お幸せに!! (2020年1月18日 23時) (レス) id: b31001c27f (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - ロアさん» ロア様、コメントありがとうございます!(*^^*) 予想外でしたか?(^^) 楽しんで頂けたみたいで、大変光栄です! 最後まで目を通して下さりありがとうございました!良いお年をお迎えください(*^^*) (2019年12月24日 14時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2019年12月2日 2時