約束のネバーランド【男主】

27.焦りは禁物 ページ28

昔から本格的にではないが、聴覚の訓練はしていた。みんなの役に立つ為に。
だからなんとなく誰の足音だとかは分かるけど、人数が多すぎて把握する為に集中し過ぎてしまう。
あと残り少ない時間で、どれぐらい力をつけられるか分からないのに、このままじゃダメだ。
作戦等はみんなが考えてくれる。その作戦を必ず成し遂げる為にも、僕が、僕がもっと力をつけないといけな

「A、少し休憩しようぜ」

レイの言葉でハッと目を開ける。
目の情報量は全体の9割と聞いたことがある。だから訓練中は目を瞑る。視覚を塞ぐことによって、他の感覚が鋭くなるのもあるけれど。

「あんま頑張り過ぎんなよ。今の状態でも十分頼りになるんだから」

「…うん」

汗が流れていることに気づく。結構疲れていたみたいだ。
レイに言われた通り少し休憩するか。
そう思い、いつものように空を眺める。

走り回るみんなの息遣い。

草木の匂い。

舞い散る葉の葉脈。

頬を撫でる風の感触。

訓練を始めてから気にならなかったことが全て頭に入ってくる。
大丈夫、焦らなくても着実に力はついてる。

深呼吸をして、訓練に戻る。

「もう少し休憩すればいいのに」

「ううん、大丈夫」

目を瞑り集中する。今度は冷静に。

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