漆拾陸話 砕け散りし海辺に ページ42
船から降りてコンテナの裏に隠れる。
「くっ…」
食らった攻撃が今になって痛みが出て来た。
「大丈夫……
「闇を、彷徨っていた……。裏路地や貧民街や……嘗て私の居た場所を。でも、其処はもう私の居場所じゃなかった」
闇…か。
「それより先ずは組合の対処。あれ」
コンテナの影から顔を覗かせる。
視線の先には、市警がいた。
「偽の通報で市警を呼んでおいた。警察と一緒なら組合も気軽に手出し出来ない。来て」
鏡花ちゃんについて歩こうとすると尾崎さんの話を思い出す。
「鏡花ちゃん、如何して戻ったんだい?行方不明の儘でいれば戦争に巻き込まれずに済んだのに」
「私の居場所は、探偵社だけだから」
少しだけ悪寒がした。
「生まれて初めて成りたいものが出来た。だから戦う。
でも、だからって_。
口に出すのをグッと堪えて、僕らは歩いた。
「済みません!」
警察に大きな声で話しかける。
「
「何だって_____大丈夫かい?非道い怪我じゃないか!警部!」
1人の市警が僕らに駆け寄った。
「あぁ、裏社会の抗争かも知れん。暫く前から横浜は
警部が持っていた無線機にザザッと音が入る。
「こちらゼロナナ。本部どうぞ」
《至急、至急。本部よりゼロナナ。手配中の連続殺人犯がその近辺を逃亡中との情報あり。年齢は十四、和装で身長五尺足らずの少女。繰り返す_____》
「お嬢ちゃん……
鏡花ちゃんは何も答えない。
「……本部こちら_____」
警部が銃に手を伸ばした瞬間、鏡花ちゃんは地面を蹴って彼の首を掻っ切った。
「警部っ!?」
もう1人の警察を狙って鏡花ちゃんが戻ってくる。
僕も地面を蹴って、鏡花ちゃんの手を掴んだ。
「何てことするんだ‼」
「警部、警部!」
居た堪れない罪悪感で、鏡花ちゃんの手を引いて其の場から逃げ出す。
「本部!殺人犯と接触し警部が負傷!被疑者は逃亡、至急管機の応援を‼」
後ろでそんな事を云ってるのが聞こえた気がした。
_…暫く走ると、人影が見える。
「
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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 | 作成日時:2017年10月15日 22時