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泉鏡花_from:Atsushi ページ14

確かに彼女は兄さんと呼んだ

自分の恩人である太宰治に対して



国木田「…どういうことだ。説明をしろ。太宰」



国木田さんの低い声が静まり返った社内に響く

その声に対してなのか、はたまた違うのか

太宰さんはしばらく彼女を見つめたあと、重い口を開いた



治「どういうことだい。A」



それは今まで聞いたことの無いような、なんとも言えない感情が入り交じった声だった



『何年ぶりだろうね。私の名前を呼ぶの』



社員全員が彼女と太宰治の会話に集中した



『初めまして。武装探偵社の皆さん。私の名前は太宰A。そこにいる太宰治の実の妹です』

与謝野「妹だって?」

『えぇ。生まれた時からずっと一緒にいた、唯一の肉親ですよ……四年前までは』



太宰Aと名乗った彼女はポケットから一枚の紙を取りだし、太宰治に歩みよった

そして、その紙を渡した



『どうぞ兄さん』



渡した後、Aは別の方向に歩きだし、立ち止まったのは



『やぁ。君が泉鏡花?』



つい最近、ここへとやってきた泉鏡花の前だった

鏡花ちゃんはぶるぶると震え、顔が引き攣る



敦「鏡花ちゃん!!」



鏡花ちゃんが危ないと思った僕は、二人の方へ行こうとした時だった



《動くな》



Aがそう言った瞬間、身体が石にでもなったかのの様に動かなくなり、声も出なくなった



『君が泉鏡花を連れてきた子?…正義感強そうな感じがするよ!』



褒め言葉なのか、はたまた嫌味なのか

よく分からない言葉を言ったあと、鏡花ちゃんに向き直った



『…ふむ。こっちにいた時よりも顔色が良くなってるし、感情も出るようになったじゃん』



それから読み取るに、彼女は鏡花ちゃんのことを知っていたらしい。



『よかったね。年相応の女の子になった感じがするよ』



ぽんぽんと鏡花ちゃんの頭を撫でた

その行為を見た社員は、意味がわからなくなった

武装探偵社を襲撃しに来たのではないのか?

泉鏡花を取り戻しに来たのではないのか?

なんの為に来たのだと



『…もう、こっちに戻ってきちゃ駄目だよ』



その言葉には鏡花ちゃんも反応せざるを得ず、パッと顔を上げた



鏡花「私は…」



その言葉の続きは発せられることは無かった




治「どういうことだ」




怒りをはらんだ太宰治の声に遮られて。

怒り_from:You→←兄妹_from:You



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悠希(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります!!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月25日 20時) (レス) id: 84d16d7788 (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - とても面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2020年3月30日 23時) (レス) id: eb111e24a3 (このIDを非表示/違反報告)
暗黒の舞姫 - とても良い作品ですね!続きが気になります! (2020年2月2日 19時) (レス) id: d7a443e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 面白いです!更新まってます! (2020年2月2日 10時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イチノセ | 作成日時:2020年1月30日 0時

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