奏 (ページ2)

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1話ページ2

「おい。」

また、こいつか．．．と思いつつ俺はその小さい体に触れる。

「はいはい。」

彼女は気だるげな仕草で右手を差し出した。

「お前…忍田本部長に昨日説教されたばかりだろうが．．．」

「そうだねー。」

彼女はこちらの話を聞く気にもならないようだ。いや、正確に言えば彼女からしたら何回も聞かされた話だから聞く必要が無いということか。

つまりは彼女からしたら俺の話はRPGで何度も同じ話を繰り返すモブのような存在なのだ。

「別にあなたがいなくても逃げ切れたし。」

彼女は素っ気なかった。確かにあれだけ音を出して即座に逃げきれるぐらいの対応力は持っていた。だがトリオン兵は視覚より持ち主のトリオンに反応している。だから彼女が隠れてもトリオンに反応されたら彼女は逃げ切ることが出来ない。

「んじゃ荒船さんお勤めご苦労様。」

本当にこいつ中２なのか．．．本当に不安になってしまう。身長面、精神面的に。こいつをおぶった時にはまじで体重あんのかって思ってしまった。