奏 (ページ1)

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プロローグページ1

かつては街の中心地だったここは
無惨にも異世界からの侵略者によって
廃墟の街になってしまった。

今では警戒区域と化して近界民(ネイバー)と呼ばれる侵略者を集める箱庭となっている。

私はここで秋風に吹かれながらトロンボーンを吹いている

何故危険な場所で吹いている？そう思うだろう。

実際ここにはボーダー隊員が徘徊していて、身の安全は保証されている。それに、ここなら騒音で迷惑がかからないから思う存分いくらでも吹ける。

ゲート発生ゲート発生
警戒区域内にゲートが開きます
近隣の皆様はご注意してください。

意外に近くにゲートが開いた様だ。近界民(ネイバー)は蜘蛛型2体のみ。問題ない。逃げ切れる。大体距離は200mあるから撒けば逃げ切れる

私は自分背中に向けられた殺意を感じながらトロンボーンケースとトロンボーンを持って逃げる。

大体50m走ったぐらいだろうか。どうやらボーダー隊員が倒したようだ。狙撃だけで近界民(ネイバー)を倒せるものなのだろうか。

私は再びトロンボーンを構えようとした。
自分に向かってくる人の気配がする。
私は反射的に楽器をしまって咄嗟に隠れようとした。ただ、今いるビルには全く隠れる場所など無かった。
ただ寂しさと虚しさを逆撫でするように秋の冷たい空気が私の肌を撫でるだけだ。

「おい。」