惚れるわけないから。【snr】

にじゅうきゅう ページ30

センラside




「A」



そう呼ぶと目を輝かせながら振り返る彼女。



そんな姿に何時しか俺は、______






・

『先輩、あんまり無理しないで下さいよ？』




昼休み、一緒に昼食をとっていた彼女にいきなり言われた。


二人のぎくしゃくした関係が元に戻ってまだ数日。だがお互い、そんな話は無かったかのような振るまいだ。





「無理はしとらんで？」
『ならいいんですけど、』





不満げに卵焼きを頬張りながら言う。
その理由はきっと俺を気遣ってくれているからなのであろう。

優しい彼女だからできる気遣いなんだ。




その後の授業を俺はサボった。
体温計が指すのは微熱といったところだが頭痛に耐えられなくなってきたのだ。





「はぁ」




ベッドを囲むミントグリーンのカーテンが窓から入る風に揺れている。


きっと彼女に見付かったら怒られるんだろうな。
頬を膨らませて怒る姿が目に浮かんだり。
面倒くさがりの彼女が今真面目に授業に出ているんだなぁと考えたり。


最終的には彼女は今何を考えているんだろう、なんて思ってしまった俺はどう考えても狂っている。



そんなくだらないことを一人真っ白な天井とにらめっこして考えていた時だった。






隣のベッドから低めの声が聞こえた。

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