じゅうろく ページ17
Aside
私が一番苦手とする朝。
まだ冴えない脳を起こすために冷水で顔をそっと洗う。
身支度を済ませて 行ってきます、と口にして玄関から足を踏み出した。
程よい日差しに上を見上げると青空が広がっていた。
それを見て自然と口元が緩んだ。
ふいに目線を元に戻した時、
「はよ行こうや」
『ぅわああっ!?』
センラ先輩が私の家の門扉に寄り掛かっていた。
『え、先輩……!?』
「おはよ、学校遅れるで」
そう言って足を学校の方向に進める先輩を、急いで追い掛ける。
『ちょっ、先輩??』
「迷惑やった？」
『へっ……？』
急に立ち止まり、此方にゆっくり視線を動かした。
「ごめんな、いきなり来て」とそう申し訳なさそうに嘆く先輩。
「俺、何してんねんやろ…」
顔を手で覆っている姿を見ると、何故か口からこんな言葉が飛び出した。
それ対して私はというと。
『別に、迷惑なんかじゃないです！』
「………え？」
私は慌てて口を押さえたがもう遅かった。
「今……何て、」
『いや、あの、何て言うか…』
言い訳をしようと思った。
が、ﾁﾗｯと先輩に視線を動かしたときに目に入った顔を見て諦めた。
先輩がキラキラした優しい目を向けていたのだ。
『だから、迷惑なんて思ってないって言ってるんです!!』
「ホンマに言ってる？」
唖然とした顔で私に尋ねた。
『私そんなに嘘付いてますか？』
止まっていた足を再び動かす。
出てきた本音を聞こえないだろうという声量で呟く。
『ちょっと、信じてほしかったな……』
が、実は先輩には聞こえていた。
後ろで口角を上げている彼には気付くわけもない。
「ありがとう。明日からも行ってええ？」
少し恥ずかしい気持ちもあったが、はい と言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩雲 朱瑠璃 - 読みました！すごかったです！文才が！とっっってもキュンキュンしました！最後の縦読みがすごかったです！感動しました！ (2022年1月8日 17時) (
レス) id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
CIEL☆(プロフ) - 大崎 奏葉さん» 伝わったよ大丈夫!!◎ 推しは尊いものです！！！ (2020年3月9日 19時) (レス) id: 6daf1523f9 (このIDを非表示/違反報告)
大崎 奏葉(プロフ) - CIEL☆さん» とにかくキュンキュンしたって言いたかったの！ てか、推しが尊い← (2020年3月9日 19時) (レス) id: 289cb6b285 (このIDを非表示/違反報告)
CIEL☆(プロフ) - 大崎 奏葉さん» かなはちゃんありがと!! 縦読みあたし好きなんよ……!! 楽しいから使ってみて〜!! キュンキュンの……キュン言いすぎて何か分かんない 笑笑 (2020年3月9日 19時) (レス) id: 6daf1523f9 (このIDを非表示/違反報告)
大崎 奏葉(プロフ) - 文才あるわ……縦読み、今度使ってみようかな！ あと、キュンキュンのキュンのキュンしたよ！←え (2020年3月9日 19時) (レス) id: 289cb6b285 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：CIEL☆ | 作成日時：2019年3月28日 17時
