七十九枚目 ページ33
Aside
「Aちゃんって、好きな人…いる?」
「好きな人ぉ?」
両手を後ろで組んで、恥ずかしそうに言うさつきちゃんはそういうのに疎い私でもわかるほど恋する女の子の姿だった。
「いや…いないけど…」
「そ、そっか!え、えとね、私、最近気になる人が出来てね…」
さつきちゃんから恋の話を聞くのは出会ってから初めてだった。
なんなら人から恋の話なんてされた記憶はない、遠い記憶にはあるのかもしれないけど。
なんだか急に緊張してきて、猫背の姿勢をぴんと直す。
「…誰?」
「それが…黒子、テツヤ君なんだけど」
きゃ、なんて言って頬に両手を添えてくねくねと動くさつきちゃん。
その間私は思考停止である。
黒子、テツヤ?…それってあの影が薄いバスケ部の黒子テツヤだよね。
確かに優しいと思うし、努力家だと思うし、いいやつだと思うけど。
「ソッカァ」
絞り出すように出した声。
いや、これは黒子じゃなくてもなってた。
たとえ赤司でも、青峰でもきっとさっきみたいな反応になる。
だってわかんないんだもん、なんて返したらいいのか。
さつきちゃんは私から聞かずとも惚れた理由を話してくれた。
私は最初の方うんうんと頷いて話を聞いていたけど、アイスのあたり棒をくれたからと言い出した時には頷きを止めた。
「なんか、楽しそうだねさつきちゃん」
「へへ、そうだね、楽しいんだと思う。…Aちゃんもきっと、いつかそういう人が出来たら楽しいと思えると思うよ」
遠くを見ながら頬を染め笑うさつきちゃんは、やっぱり可愛い女の子だ。
いつか、私もそんな人が出来ちゃうのだろうか。
恋とかわかんない。人を好きになるとかも、正直わかんない。
将来私の隣に好きな人がいる未来が見えないし、私のことを好きになる人なんてそもそもいないだろう。
布団を被るやつを好きになる人なんて、だいぶ変な人だろう。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時