検索窓
今日:20 hit、昨日:8 hit、合計:71,329 hit

六十六枚目 ページ20

Aside


ぎゅっと布団の内側を握る。



「…山梨は布団から出ようとか…。…いや、すまん。なんでもない」

「すみませんが思いません。…部活辞めたほうがいいなら、やめます」

「辞めなくていい辞めなくていい!仕事早いし丁寧だし、いつも助かってるから!」



慌てて言う主将の言葉は結構うれしいことで。

お世辞だとしても、ありがたい。
布団の中で少し口角が上がる。



「ま、今回は走り込みだけにしとくわ」

「…ありがとうございます」



そして何故かぽん、と虹村さんが私の頭に手を置いた。

え?と驚き身を固くしていると虹村さんはすまん、と謝りすぐに手を離した。

手を出してきた本人もびっくりしているようだったけど、一番びっくりしてるのは私だから。

別に虹村さんはいい人だから、触れられてもそこまでいやな気はしないからまだ許す。

私は大丈夫です、と小さく返すとまたポンポンとたたいてきた。

いや、やってくれとは言ってない。



「何してんだぁ?」



虹村さんと私の変な空間の中に飛び込んできたのは、いつものように部活に遅れてきた灰崎。



「灰崎遅ぇぞ!おめぇも走って来い!!」

「はあ!?あんたこそ何やってんだ布団野郎とイチャついて…、できてんのか!?」



瞬時にすぱぁんといい音が鳴って、しばかれた頭を抱えながら灰崎は地面に膝をついた。

威力がすさまじくて、頬をひきつらせながら虹村さんにマネ業してきまーす、と伝えてその場を去った。
あとはお二人でどうぞ。


あいつらのペナルティ、走り込みだけで終わりそうでよかった。
筋トレ二倍にされることもあるから、ましである。
マネが遅れても罰がないのはちょっとアレだけど、まあそこは。


開いている体育館の扉から、走っている彼らの姿が見える。

疲れを見せない余裕そうな走りに少し安堵。


…ほんと、なんでわざわざ私なんかを。



「Aちゃーん!」



ぽつんと立っていた私をさつきちゃんが呼ぶ。

どうしたの、と早足で近寄ると青峰君がね、と話し出す。



「私たちにAちゃんがラブレター貰ったけど、どうも様子がおかしいって言ってきたの。彼、勘がいいからその場にいた皆が心配して行っちゃった。ごめんね、迷惑だったかな」

「そんなことないけど、…ほっとけばよかったのに」

「ほっとけないよぉ。友達が困ってるかもしれないと思ったらね」



さつきちゃんはそう言って笑みを浮かべていた。

六十七枚目→←六十五枚目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
635人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
- 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/  
作成日時:2020年5月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。