五十九枚目 ページ13
Aside
本当にすぐそこの角を曲がれば緑間の家があり、入れ、とぶっきらぼうに言われ家の門をくぐる。
玄関の扉を結衣ちゃんが開ければ、パタパタとスリッパを鳴らす音が奥から聞こえ、二人の母親らしき人が出てきた。
「真太郎!結衣は…ってあら…、もしかして…布団の妖精さん…?」
「んんえぇ?」
小学生の結衣ちゃんだけではなく、その母親の口からその言葉が出るとは思ってなかった。
びっくりしている私をよそに、緑間がさっきあったことを説明していて、事情が分かった母親は私に頭を下げありがとう、とお礼を言った。
「あー、いえ別に…。…ちょっと手洗わせてもらっていいですか?」
「もちろんどうぞ!真太郎案内してあげて?」
「こっちだ」
靴を脱ぎ、用意してくれたスリッパを履いて前を歩く緑間の後をついて行く。
洗面台のある場所へ案内され、私は石鹸で手を洗う。
その間緑間はタオルを二枚用意しており、手を洗い終えた私にそのうちの一枚を渡してきた。
貰ったタオルで手を拭いていると、残りの一枚のタオルに少し水を滲みこませており、ぎゅっと絞ったかと思うと次はそれを渡してきた。
…なに?
「…布団、汚れているぞ」
「あぁ…」
「俺が触れるのはいやなのだろう」
かちゃりとメガネをかけなおし、気まずそうに湿ったタオルを差し出す緑間がおかしくってぷはっと笑ってしまう。
「なに笑っているのだよ」
「いやぁ?私の理解度上がってきてんじゃんと思って」
「いいからさっさと受け取るのだよ」
投げるように無理やり渡してくるもんだから、私も手を拭いていたタオルを投げ返した。
緑間から汚れているという場所を教えてもらいながら自分で拭いて汚れを落とす。
早めに拭いたからか、思ったよりも綺麗に取れた。
「どーも」
「ふん」
またそのタオルも投げ返していると、小走りで結衣ちゃんがやってきた。
落としたお守り洗いに来たのかな、と思ったが、その手には筒状に丸めた紙があった。
「よ、妖精さん!これ!」
ちょっと緊張した声で、ずい、とそれを私の前に差し出す。
勢いに負けてそれを受け取ると、結衣ちゃんは瞬時に顔を覆い隠し、体をよじらせていた。
そっと紙を開くとそこには、私と思われる布団を被った女の子と、その隣に緑色の髪をした女の子、そしてそんな二人を後方から見守っている緑色の髪をした男が描かれていた。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時