四十八枚目 ページ2
Aside
「さつきちゃん、これココでいい?」
「うんありがとう!」
授業と違ってしっかりサボらず、今のところ部活へきている。
ドリンクを近くの水道で作って持ってくるんだけど、あまり力の無い私は持ち手のあるカゴに入れて、何回かに分けて持ってきていた。
あと二つ、さつきちゃんは記録しているから私だけでよいしょよいしょと一つのカゴ持って運んでいた。
すると後ろから強く押され、重心が前に行き、隣にあった壁にぶつかる。
派手に転ばないでよかった。いや誰だ押したの。
「あっ、ごめんねー当たっちゃったー」
「……は?」
「謝ってるじゃん。何その不満そうな声、心せま」
後ろをちらりと見るとそこにはジャージ姿の女子が五人ほど仁王立ちしていた。
ジャージの色からして、二学年だろうか。
だっさあ、だとかトロいだとか、こそこそと笑いながら言っているのが聞こえる。
聞こえないとでも思っているのか、いやわざと聞こえるようにいってるんだろうけど。
「別に不満しかないけど、逆にないとでも思ってた?」
「っ、ほんと山梨サンさぁボッチのくせになんか一生懸命やっちゃってさ、正直気持ち悪いんだよね。運よく一軍になって、キセキの世代たちに必要とされてるでもと思ってるの?」
「キセキの世代…?」
なんだそれ、と壁にぶつかった際についた布団の塵を払いながら首を傾げる。
「変人のくせに、天才たちの周りウロチョロしないで。すっごく目障りなの」
「アンタが誰のことをいってるのかはわかんないけど、わざわざ私を押して言いたかったことそれ?しかも多人数で私を囲んで、そんなしょうもないこと言いに来たの?…アンタたちマネージャーに見えるけど、仕事しなくていいんだ」
「ほんといいかげんにしろよ!?」
ぐわしと中心にいた女子が私の布団につかみかかる。と思ったら後ろにある壁に強く背中を押し付けられた。かなり痛いし、手に持っているドリンクが入ったカゴが重くて腕も痛い。
それに追い打ちをかけるように周りの女子が私の布団を引っ張ろうとしてきた。
「どうせブスなんだろ!?顔見せろよ、ネットに晒してやるから!」
「はぁ!?非常識すぎん!?やめろよ!」
ついにガシャン、と持っていたカゴを自分の布団を死守するため手放し、必死に抵抗する。
いつも思う、こんなに布団を守るために必死になるのなら、そもそも外になんか出なかったらいいんじゃないかって。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時