12 ハッピーアイスクリーム ページ13
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「しまった、今日燃えるゴミの日だ!」
朝起きて、顔を洗い、歯磨きをして油断していた。
ゴミカレンダーを見てハッとし、燃えるゴミの袋をせっせと集め口をくくる。
まだゴミ収集車が来る時間ではないことを確認して、少し落ち着いてから玄関を出た。
すると驚いた。
同じタイミングで扉が開き、お隣さんとバッチリ目が合う。
今回もすっぴんである。これからはゴミを捨てに行くにしても化粧をするかどうか考え時だなこれ。
「おはようございます」
「おはようございます」
出てくるタイミングも、挨拶するタイミングピッタリすぎてハッピーアイスクリームって叫んで体に触れそうになった。
お隣さんの手にもゴミ袋が握られており、彼もゴミを捨てに行くのだとわかった瞬間、何も言わなくとも一緒にゴミを捨てに行った。
今日も髪跳ねてますねとお互い言いながらゴミを捨てれば、今日もゴリラのTシャツ着てますねと言われながら階段を上る。
「今回のTシャツは特注なんですよ」
「と、特注とかあるんですか」
「ちょっと高いですけどね、ここのブランド好きだから」
少し自慢気に話しているのが悪かったのか。
それとも朝早くだったから足元がおぼ着いていたのか。
「ぉわッ!?」
階段に躓き、顔面から転けそうになった。
次に予想される痛みに身構え、目を瞑るが、一向に痛みは来なくて代わりに硬い胸板に私は抱かれていた。
「……随分鍛えられてますね」
「はは、人並みには」
これはなかなかの筋肉だと印象を受けだが、そんなことよりとハッとし、お隣さんの腕の中から離れようとする。
しかし私の髪が彼のシャツのボタンに引っかかってしまい、簡単に離れれなかった。
「すみませんっ、絡まっちゃって!」
「あ、そんな動かない方が」
「そ、そうですね!…よいしょっ」
だいぶ恥ずかしいのでテンパってしまったが、動けば余計絡まってしまう。
私は片手ですらりすらりとかなり引っかかった髪を解き、彼から離れた。
「ごめんなさい!そして助けてくれてありがとうございました!」
「い、いえ。それにしても、器用…ですね…?」
「あぁ、私手先は器用なんです」
にへっと笑えば、彼もいつも通り笑い返してくれる。今回はちょっと苦笑いだったけど。
もう一度お礼を言ってから、私達はまた、いつも通りお互いの名前を知らないまま、自分たちの部屋へ帰っていった。
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礼 - すっごく面白いです!続き楽しみに待ってます! (2021年12月12日 8時) (レス) @page38 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぱるむさん» 流れは一通り書いているのですがちゃんとした文字に起こすのがすごく手間取っていまして…、ぼちぼち頑張っていきたいです!ありがとうございます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - アイスあるさん» ありがとうございます!!返信遅くなってごめんなさい、マイペースですがぼちぼちやっていきます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月27日 18時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年9月6日 17時