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Aside
それから私は真面目にマネージャー業をこなした。もちろん黒子君の居残りだってガングロと一緒に残っている。
授業は真面目に睡眠をとり、放課後はマネ業に努める。
この頃ここ数年の中で一番動いて働いて頭使っている気がするけど、間違ってないはずだ。
「はーい、そこの青色のTシャツ着てて今ボールパスした人こっちきてくださーい」
「あ?んだよ!」
マネになって一週間。
気になったことがあればいつでも誰でも口を出していいとマネ業を四日で完璧にこなすようになった私に、佐々木さんは言ってくれた。
だから布団をふわりと浮かせながら手を出し気になるヤツを呼ぶ。
そいつは悪態をつきながらも私の方へ頭を掻きながらやってきた。
「エー、私がどうして呼んだのかわかるかね青Tシャツ先輩」
「青Tシャツなんていっぱいいるだろそう呼ぶな!…なに、わかんねぇよ」
「私にはわかります。だって私が呼んだから」
「そんなしょうもないこと言うために呼んだんだったら練習に戻るぞ布団」
「自分の状態わからないやつが練習に戻るのは無謀だと思いますけど」
「なんだと?」
怒りを含んだ声を私は鼻で笑い飛ばす。
「頑張るのはいいですけどね、怪我しちゃ意味ないんですよ」
「っ?」
「足、捻ってますよね」
ほら固定しますよとベンチの方を指させば、彼は少し唸った後私より先にベンチに座った。
なんで先行くんだよ。
私はベンチ近くにある救急箱からテーピングを取り出す。
「まだ軽傷ですねー、テーピングだけで大丈夫そう」
「…なんでわかったんだよ。お前布団被ってるくせに、」
「…音が聞こえたから」
それだけ答え、私はくるくるとテーピングを右足首に巻いて行く。
佐々木さんからとっても上手だと褒めてくれて、少し機嫌がよくなったのは久しい。
「直るかなぁ、足」
ぼそりと青Tシャツ先輩が呟く。
その声には焦りが含まれているのがよくわかり、そういえば明日昇格テストがあることを思いだした。
「…大丈夫でしょ。早めに気づいたし。…まあ、頑張ってください」
「…おう」
短い返事をして、テーピングを巻き終えた彼はベンチから立ち上がる。
そのまま練習に戻るかと思えば振り返り、一二歩その場で足踏みしたかと思えば次に息を大きく吸う音が聞こえた。
「ありがとな」
大きく息を吸ったくせに、小さな声で彼はそう言った。
なんだか胸のあたりがくすぐったくて、思わず、マネとして当然だと思うことをしたことだけだし!と少し裏返った声で返した。
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!!(好き) 少々お待ちをっ! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!(お前は早すぎんだよ) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!そのお言葉嬉しい限りですうう!ほんとに更新遅いですが頑張ります! (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます!(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前!?大昔から…!あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいwありがとうございます!ぼちぼちですが頑張っていきます! (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年7月20日 12時