三十三枚 ページ35
Aside
「真田君にAがバスケ部の見学に来ていたと聞いたけど、入るのか?」
「何言ってるの耕ちゃん、私布団被ってるんだよ?無理でしょ」
首を傾げ、少し上ずった声で耕ちゃんに返事を返す。
私には、無理でしょうと。
「…君達家族はバスケが好きだったな」
「うん」
「A」
落ち着いた、優しい声で私の名前を呼んだ耕ちゃんに釣られ思わず顔を上げる。
目が、合う。
「きっと君は選手ではなく、マネージャーになろうとしているんだろ?
桃井のように試合の時に下のベンチで選手たちをサポートすることはできないが、布団を被っていても応援なら二階席でもできる。
それにマネージャーは当たり前だが応援することだけが仕事じゃない、練習時やることは多いし、他人のためにいろんなことをして選手たちを支えなければならない。
布団を被っているなんて、正直関係ないんだよ。
それにAは器用だし、優しいから、…バスケが好きだから君はマネージャーに向いていると思う」
つらつらと述べられたその言葉たちを、一度も私から目を逸らさず言った耕ちゃん。
私はそんな耕ちゃんから先に目を逸らし、ギュッと口を噤む。
「…私は監督だから、チームが勝つような人材を手に入れたいと思うのは必然だ」
「…私、必要なの」
「まあ、入ってからの活躍にもよるがね」
ふふ、と紳士風に笑う耕ちゃんをまた私は顔を上げた。
「Aは、どうしたい」
「……」
「青春は一瞬だよ。…一番は、君がやりたいことをすればいい」
「私は…」
私は、私は…バスケが好き。
やるのも好きだったけれど、今は見るのが好き。
なんならバスケをしている人を支えてあげたいという気持ちが大きくある。
こんな性格なのに、おかしいだろって思われるだろうけど。
そんな人の意見なんて関係ない、そう、私は自分の気持ちにまっすぐでありたい。
布団で身を隠しても、自分の感情を隠し続けることなんて、自分らしくない。
「耕ちゃん、私マネージャーやってみたい」
「…そうか。ほんと君達家族は答えがわかっているのに、たどり着くまでの経路が長いな」
「そうかもね」
布団の中で口角を上げ笑ってやると、耕ちゃんも優しく笑いもう一度口を開いた。
「布団を被っている君は周りから奇怪な目を向けられ、辛い思いをするかもしれないが君はきっと大丈夫。
…きっと、彼らを導ける」
「え?」
その言葉の意味が分からなくて聞き返すも、何もないと返された。
耕ちゃんはじゃあ、と私の頭を布団の上から撫でて、違う体育館へ向かって行った。
.
ラッキーアイテム
革ベルト
593人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!!(好き) 少々お待ちをっ! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!(お前は早すぎんだよ) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!そのお言葉嬉しい限りですうう!ほんとに更新遅いですが頑張ります! (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます!(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前!?大昔から…!あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいwありがとうございます!ぼちぼちですが頑張っていきます! (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年7月20日 12時