８億当てたって、私は変わらない。【名探偵コナン】

２２９億 ページ42

Aside


降谷が撃たれた後、当然だが犯人は逮捕された。処刑は免れないだろう。

そして撃たれた降谷は入院し、約四日間目が覚めなかった。

…綺麗な目を閉じて、寝ていても綺麗な顔に酸素マスクをつけて。もう、起きないんじゃないかって心配したけど、脅威の回復力で、平均よりはるか早く退院。

それ聞いた時絶対こいつ人間じゃないと悟ったよ。



そしてそんなゴリラに、電話で会えないかと言われ、来れるもんなら来いと今いる場所をアバウトに叫んでぶちぎった。

だって、正直会いたくないもの。
だからケンに会いにきたっていうのに。

もう口を開かないケンに相談っていうのもなんだけど、公安の仕事が多すぎて多すぎて、人間に相談するより故人に相談した方が自分の気持ちが落ち着くんじゃないかって。


私は、ケンに夢であったとしても、前に進めと背中を押された。

けれど、私が前に進んだとして、それは正しいの？
降谷と一緒にいて、降谷は幸せになれるの？
今回のように、命を落としそうになることはこの先ないの？

貴方(ケン)のように。


そんな私の悩みを知らない降谷は、私に大きな爆弾を落としていくわけなんだけども。




「好きだ」

「待って急すぎる」




急すぎる。本当に急すぎる。

分かっていた、わかっていたのを知らないふりをした。
降谷が私に抱いてくれていた感情、私に好意を抱いていたことは知っていた。

それと同時に、私も降谷に…。

けれど私はあなたの優しさに甘えてて、気付かないふりをしていたズルい女だよ？

そんなズルい女、あなたには似合わないじゃないか。釣り合わないじゃないか。


それにしても急。




「降谷？ちょ、えぇ今？いや今か、呼び出したんだもんね、だからってさぁ！？」

「落ち着けって」

「元凶！！」




思わず降谷を指さす。

顔が暑い、もうすぐ30になるこの体はやっぱりいきなりのことにはいつまで経っても慣れない。

恥ずかしくって手で顔を隠す私をさっきから降谷はクスクスと笑う。

こいつ、私があんなに悩んでるって言うのに…あーもこんなやつに惚れた私を殴りたい！でもよく考えてみたらこんなハイスペックに惚れる私仕方ない！！

でも降谷、よく考えて。
あなたは本当に私が好きなの？

今はもう居ない人のことをずっと追いかけていた、未練タラタラ女を。



私ならいやだね。


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