黄瀬涼太の幼馴染みだからと言って、同じ高校に行くとは限らない。Fourth【黒子のバスケ】

１８７Ｑ ページ48

Aside



しかし第２Ｑ。


点差がどんどん開いて行く。勿論俺達が不利な方で。

黒子は和ちゃんに止められるし、幾ら点を決めたって、緑間君が３Ｐでどんどん点差を開けてくる。

緑間君の３Ｐの滞空時間は長いから、余計に精神的に来る。入れば三点入り、点差が開いて行くのを見て、皆焦る気持ちが募っていく。


ああ、ダメだ。このままじゃ…。


第２Ｑが終わり、十分のインターバルに入った。
ジャージを着て、控え室に入る。




「……」




やはりその場は静かで、皆思うことがあるのか誰一人、口を開けなかった。


そんな皆をみて、また監督が変なことを言いそうだったのを察し日向先輩が止めた。

二人の様子をくすっと笑ってみていると、端っこで黒子が何かを見ているのに気が付き、顔をのぞかせる。




「…黒子、それって和ちゃんの…撮ってもらってたの？」

「…和ちゃん、…あぁはい、高尾君のを」

「長崎はどこやかし行くたびに友達作ってくるなぁ…」




先輩のそんな言葉が聞こえたが、とりあえずあはは…と笑って流しておいた。

そんなことないと思います。




「なんか勝算あるのか？」

「え？さあ」

「は？」




伊月先輩の言葉にさも当たり前のように答えて、画面を見つめる黒子はまだ言葉をつづけた。




「『勝ちたい』とは考えます。けど『勝てるかどうか』とは考えたことないです」




黒子はたまに、いいこと言うもんだ。

未来は、わからない。


なにがあるか。




「まぁ、どれだけ点差があっても、最後の最後に相手のベンチに隕石が降ってきたり、相手の監督さんが逃げてきたライオンに食べられちゃったりするかもしれないもんね。
試合終了のブザーが鳴るまで、何が起こるかわかんないし」

「そうです、だから自分ができることをやるだけです」

「いやいやいくら何でも隕石とライオンは来ないだろ！」

「長崎例えが怖ーよ！そんで笑顔で言ってるから更に怖ぇー！！」

「あはは、すみません」




空気が先ほどよりか柔らかくなった気がした。

先輩たちは、これらの例えより逆転の方が現実的だな、と笑って気合を入れなおした。


.

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