ゼロから始める関係性がいい。【安室透】

１４から ページ16

Aside


「安室さん安室さん、アンタ何者」

「…Aさんこそ何者ですか？」

「私は普通の一般人ですけど！？普通にゲーム会社で働いてる！でも安室さんってただのイケメンアルバイトですよね？どこにそんなお金…」

「…貯金、してたり宝くじに少し当たったりしたんですよー」




そう言って笑う安室さんの元に、シャンパンのグラスを二つ持ってきたお店の人が。

え、だから私お酒飲まないんだって。明日に響くから…。




「まあ、今日は楽しみましょうよ」

「何なんだよもうだからお酒飲まないんだって」




ゲッソリした顔を安室さんに向けるが、安室さんはニコニコするだけ。

ほんと何、安室さんってこんな人だっけ？


あれ…当たり前だけど、私安室さんのことちゃんと知らない。

ただイケメンで、ただ怪しくて、ちょっと強引。

そんなことくらい。




「…安室さんって、歳いくつなんですか？」

「二十九です」

「は？マジですか。嘘でしょ。ベビーフェイスってよく言われません？」

「あはは」




この若々しい顔がもう三十路って…。

神は時に残酷だな。私なんて周りの人から年相応な顔してますね、って言われるからね。

嬉しいような、悲しいような。複雑です。




「ここのお肉、柔らかくって凄く美味しいんです。一応コースで頼んでますから」

「コースとか、私初めてなんですけど。…安室さんってやっぱり慣れてますね、女性のエスコート。
彼女さんとか、いないんですか？」

「…僕はいませんよ。Aさんは、彼氏さんいないんですか？」

「彼氏は…三年前に別れた以来出来てませんね。
仕事仕事仕事。毎日仕事してお金貯めて頑張って…はあ。…あ、すみませんこんなところでため息なんて」




ハッとして顔を上げると、安室さんはいえ、と言ってニッコリ笑っていた。

…何でだろう、今の私より、安室さんの方がよっぽどため息尽きたそうな感じがする。
何ていうの？疲れてる、のかなぁ。いや、無理してる？よく見たらクマひどいし。

って私何見てんだ。




「Aさん可愛いですから、てっきりいるのかと思いました」

「ほぉらー何ですかたらしですか。気安く女性に可愛いとか…可愛いとかっ…。あーこの手馴れてる感！」

「僕は正直なこと、言っただけですよ？」




この人は一体何なんだ。

余計怖く見える。


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