４ スカル ページ6
Aへ
まずは、おめでとう。
次に一つだけ、
伝えておきたいことがある。
勘違いはしないで欲しい。
オレは別に怒ってない。
お前がアイツを選んだ。
ただ、それだけのことだ。
だからオレのことは、もう忘れろ。
幸せになれよ。
スカルより
手紙を書いていた。
もう何年も前に別れた彼女への。
付き合うことになったきっかけは、
実はよく分からない。
仲の良い友達、のはずだった。
いつのまにかそういう関係になっていた。
オレ達の『そういう関係』っていうのは、
手を繋いだことも、キスをしたことも無い、
たまにデートをするだけの、関係。
ある日、Aが言った。
｢私達…………別れようか｣
｢…………そうだな｣
なんとなく、で付き合って、
なんとなく、で別れることになった。
最後のデート。
夜の街を、二人で歩いた。
｢寒いね｣
季節は冬、クリスマスの直前。
｢…………｣
黙って手を差し出すと、Aは驚いたようにほほえんでからオレの手を握った。
隣を歩く別のカップルの話が聞こえてくる。
｢ずっと一緒にいような｣
｢もちろん！｣
Aは今どういう気持ちなんだろう。
｢スカル…………大好き、だったよ｣
｢……オレもだ。大好きだった｣
Aは、泣いている。なのに、
｢笑って、いるのか？｣
｢……だって、最後のデートで、最後の、スカルといれる、時間だから。でもっ、泣いちゃったから、泣いたらダメ、なのにっ｣
｢ダメじゃない。無理しなくていい｣
｢でも、ホント、は楽しいから。スカルといる、だけで。笑って、たいの｣
Aがにこっと笑う。泣いているのに。
｢やめとくか？別れるの｣
このままの関係でいたい。ふと、そう思った。
｢……ううん。一度決めた、ことだ、から。それに、付き合い続けて、なんとなく、結婚して、それで死んでいくのって、寂しいし、嫌だから｣
イルミネーションが光る道を歩いた。手は繋いだまま、何も喋らずに、ただ、歩いていた。
｢…………綺麗だなぁ｣
目の前にあるのは大きなクリスマスツリー。キラキラと輝くそれを、Aは青い瞳で、じっと見つめていた。
｢じゃあ、な｣
｢……うん。元気でね｣
手を離す。目をそらす。体をそむける。
数歩進んだところでふと振り返る。
Aも、オレを見ていた。
｢…………スカルっ｣
駆け寄ってきた彼女を抱きとめた。
右手を後ろに回して結び目をほどく。
そしてオレ達は、
最初で最後の、
キスをした。
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上帆麻夏 - やっと完結できました！評価、コメントして下さった方々、本当にありがとうございました！ (2019年5月19日 17時) (
レス) id: ee9df02df6 (このIDを非表示/違反報告)
レイナ - アロハ君、カッコいい〜(ﾉ≧▽≦)ﾉ (2019年5月9日 19時) (レス) id: 84e539f36e (このIDを非表示/違反報告)
んま - あああ！最高です…最高… (2019年5月9日 18時) (レス) id: 10cc1d3355 (このIDを非表示/違反報告)
上帆麻夏 - ありがとうございます！すごく嬉しいです！これからも頑張りますね！ (2019年5月9日 8時) (レス) id: ee9df02df6 (このIDを非表示/違反報告)
レイナ - 続き、楽しみに待ってます！頑張ってください！ (2019年5月8日 17時) (レス) id: 84e539f36e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯乃 | 作成日時：2019年5月5日 10時
