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殺して 20 96猫side ページ24

96 「!?なんで!?誰に言われたの!?」

Aは貼り付けた笑顔で

『…みんな、かな?』

と言った。

『私ね、たっくさんいじめられて、加えていじめの犯人にされることも

多いんだ』

96 「っ、うん…」

『信じてって言ってもみんな信じてくれなくて、ほんと、悲しいよね…』

96 「…そう、だね…」

わしは、そういうしか出来なかった。

知ってるよ、Aがいっつも「信じて」って言ってること。

…そして、そんなのに聞く耳を持たない人たちのこと。

なのに、わしはなにもしてあげられなかった。

自分が憎いと感じる。

『でも、棗だけは一緒に居てくれる。本当に、棗は、優しい…』

96 「優しくなんか…」

『ううん、こんなになっても側にいてくれる棗は優しいよ。ほんとに、

大好き』

あまりにも切なくて、わしはぎゅっとAを抱きしめた。

96 「ごめん、ね…」

『…ううん、大丈夫だよ』

それからずっと抱きしめていた。

Aも抱きしめ返してくれた。

…ただ、その時のAの肌は、以前とは比べものにならないほどに

酷く荒れていた。

しばらくすると、寝息が聞こえてきた。

顔を上げると、Aは眠っていた。

わしはAの顔をじっと見た。

…以前と変わらない、綺麗な顔だった。

けど、目の下には隈があり、唇は荒れていた。

96 「ごめん、こんなになるまで一人で耐えさせて…」

『うっ、うう…』

苦しそうにうなされている。

96 「…そっか、悪夢で眠れないんだ…」

『うぅ…うぁ…』

96 「A、ごめん、これからは、ちゃんと守るから…」

わしはそうAに言って、家に帰った。

明日からは、Aを助けるんだ。

…そう自分に誓ったのに。

父 「…転勤することになった」

家に帰った途端、そう告げられた。

母 「急な話でしょうけど、明日お友達にさよならを言ってきなさい」

96 「え、ま、待ってよ。わしはまだ…」

父 「ごめんな、お前を置いていくわけにもいかないんだ」

96 「……わかった…」

母 「明後日の朝には出発するわ。身支度を整えておきなさい」

大人って、なんで嫌なタイミングでこんなことをするんだろう。

せっかく誓ったのに、守るって言ったのに!

わしは部屋に駆け込んで泣いた。

「ごめんなさい、A…守ってあげられなくて」

そう言いながら。

今までごめんなさい!→←殺して 19 96猫side



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作品ジャンル:恋愛
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どうぶつ(プロフ) - やばい!!!泣けた!!! (2018年8月3日 23時) (レス) id: 07d0afdaa9 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - とても良かったです! (2018年7月27日 16時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
織姫 - 紅蓮さん» 返信がものすごく遅れてしまって、本当にごめんなさい!ありがとうございます! (2018年7月4日 23時) (レス) id: 4778a94982 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮 - 一話から見てて面白いです。頑張ってください! (2018年6月8日 17時) (レス) id: fa1bbbe3ca (このIDを非表示/違反報告)
織姫 - 映月さん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません!ありがとうございます!! (2018年5月11日 23時) (レス) id: df76df93db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:織姫 | 作成日時:2018年3月5日 19時

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