・ ページ44
.
それから、お互いの服をみたり
雑貨をみたり、ゲーセンではしゃいだり。
久々にショッピングモールを満喫した
わたしたちは、すっかり暗くなって
涼しくなった外に出た。
吉「これくらいの時間だとちょうどいいね」
もわっとした空気に眉を顰めながらも、
二人で仕事や趣味の話をしながら歩く。
閑也くんといると、肩の力が抜けるし、
なにより安心感がすごい。
吉「普通に夜景綺麗だな」
帰り道にあった人気の夜景スポットに
寄ったわたしたちは、ベンチに座って
一息吐くことにした。
「今日めっちゃ楽しかった〜」
吉「まじ？俺もめっちゃ楽しかった。
まさかプレゼント持って来てくれてる
なんて思ってなかったし」
「大切に使ってね？あのときの閑也くん
すごい反応だったなあ〜」
吉「ほんとありがと。いやそれを
言うならAも―――」
そこから今日のハイライト大会が始まり、
笑った出来事などを出し合って、また笑って。
「ほんと、明日には腹筋バキバキかも」
吉「俺ら毎日一緒にいたらボディビルダーに
なれるんじゃない？」
笑いもやっとおさまって、
心地よい沈黙が流れる。
吉「……A」
名前を呼ばれ、閑也くんを見る。
「ん？」
目を細めて、まるで眩しいものを
見てるような表情で微笑まれる。
心臓を捕まれたみたいに、
動けなくなる。
吉「……俺には……トラジャには、
Aが必要だから」
吉「だから、まだ……側にいてね」
ぎゅっと手を握られる。
「…何言ってるの、当り前じゃん」
閑也くんの言葉の意図がわからずに、戸惑う。
吉「そっか……当たり前、か」
「そうだよ。…なに、急に」
急なことを言い出した閑也くんに、
言い得ぬ焦燥感が駆け巡る。
「わたしはTravis Japanのマネージャーだよ。
ハリウッドの夢を叶えるまで、
それは変わることはないから」
吉「……ハリウッドに行けたら、
マネージャーじゃなくなるの？」
眉を下げた閑也くんに見つめられ、
言葉に詰まる。
ハリウッドに行くことがトラジャの夢だった。
だからわたしもその夢を追いかけた。
じゃあ、その先は？
ぐるぐると思考が急速にまわりだす。
吉「ごめん、なんか」
「……わたしはみんなが大好きだから……
まだまだ、一緒にいたい」
吉「…俺も。みんなも、そうだと思う」
閑也くんの問いかけが頭から離れないまま、
一緒にその場を後にした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 450人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
