#２−１２ Ketsudan ページ34
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映画撮影も後半戦。
今日は1日の終わりにまつくさんとの
打ち合わせが入っていたので、みなさんには
先に帰ってもらって、わたしたちは事務所に寄った。
「ジェスから貰った差し入れ、二人で食べちゃお〜」
倉「ジェシーくんと仲いいの？」
「この間ストの6人が挨拶に来てくれたでしょ？
そこからよく差し入れくれるようになったの」
倉「餌付けじゃん」
おせんべいと羊羹(ようかん)、
お茶を用意して席に着く。
話を切り出すのに時間かかるかな、と
羊羹に手を付けた。
倉「ソロデビューのことなんだけど」
思ったよりも全然早く言われ、あわてて手を
引っ込めると、「あ、食べながらで！」と
言ってくれ、まつくさんもおせんべいに手を伸ばした。
倉「自分でも考えたし、ちゃかに相談したんだ」
「ちゃかさんなんだ」
倉「なんか、ちゃかだった。
受けなよって言ってくれた」
「…うん」
倉「元太にも聞いてみなって言われた」
おせんべいの袋を弄りながら、
少し微笑んで話すまつくさん。
倉「元太は、喜んでくれた。
すごいじゃん！って。悩む必要ないよって」
「元太らしいね」
倉「うん。そしたらさ、
のえるとかにも話したらって」
「おお」
倉「で、もうそうなったらって、
みんなに話した」
「結局ね」
倉「うん。みんな喜んでくれた。
えぇ？って言う人なんていなかったわ」
目がうるうるとしてきたまつくさんに、
羊羹を食べて顔を見ないように下を向いた。
倉「俺、どこかで責められるんじゃないかって
怖かった。自分だけ外に出て活動することで、
トラビスじゃなくなっちゃうような気がしてた」
「……そっか」
倉「でも、Aは帰ってくる場所って言ってくれた。
いってきますって言って、ただいまって言える場所が、
トラビスなんだね」
「うん、わたしはそう思ってる。ソロで活動しても、
海斗くんはトラビスのメンバーだし、みんなもファンの
方々もちゃんと待っててくれるよ」
倉「……そうかぁ、俺、ひとりじゃないんだもんなぁ…」
上を向いたまつくさんに、微笑む。
倉「……ッ、俺、ソロで挑戦してみたい」
力強く言い切ったまつくさんに、頷く。
倉「やってみる。トラジャをいっぱい広めてくる」
「みんなで支えるから。一緒に、頑張ろう！」
うん！と笑ったまつくさんの笑顔は、
ここ最近でいちばん晴れやかだった。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
