#２−１１ Shime HBD ページ31
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「嬉しそうだね」
七「そりゃね！こんな風にお祝いして
もらえるなんて思ってなかったから…」
そう言って手に持つ花束と、桃色の
アルバムを嬉しそうに眺めるしめさん。
今日は映画のオールアップと、
しめさんの誕生日の日だった。
スタッフさんや共演者さん達が、
綺麗なピンク基調の花束とオフショットが
入ったアルバム、しめさんの似顔絵が入った
バースデーケーキをサプライズしてくれた。
わたしは事前に相談されていて知っていたけど、
しめさんの喜び様はすごかった。
七「トラジャのみんなにもお祝いしてもらって、
映画のみなさんにもおいわいしてもらって。
しあわせものだな〜」
「ケーキの似顔絵そっくりだったね」
七「ね〜！たべるのもったいなかったなぁ」
しめさんの家に送り届けている間、
ずっとにこにこしたしめさん。
ん…？なんか、変だな。
七「うれし〜なあ〜」
「……ちょっと車停めます」
違和感に冷や汗をかきながら、
車を端に寄せて停める。
七「どしたの？」
後部座席で首を傾げてるしめさん。
シートベルトを外して車を降り、
後部座席のドアを開けて彼のおでこを触った。
「ッ、身体辛くない？！」
かなりの熱さを持つおでこに、
心臓が縮まるかと思った。
七「え、？ちょっと寒いなあ〜くらい？」
「しめさん、熱あります。昨日の雨のシーンの後
身体の温めが足りなかったのかな…」
七「熱？そうなの？」
「うん、とりあえず急いで家行くから。
家に食べ物ありますか？」
七「ある程度は、あるかな」
不安そうに目を潤ませるしめさんに、
可愛いだなんて思ってる余裕はなかった。
車に積んであったブランケットや毛布で
彼を包み、車の暖房をMAXにして家まで急ぐ。
しめさんは一人暮らしだし、ご実家は栃木。
妹さんは仕事が忙しいってしめさんが
言ってたから、頼れないな…。
頭の中のスケジュールを確認すると、
明日は虎者の映画撮影が1日。
ここから運よく一晩で熱が下がるとは思えない。
あとでサポさんと東郷さんに連絡入れなくちゃ。
プレゼントは後日だな、と
助手席に置いていた紙袋を見つめた。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
