#２−８ Makoto no Toraja ページ24
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5月に入った。
宮「うお、セットすげえ」
Travis Japanというグループにとって、
新たな挑戦が始まっている。
監督「じゃあ昨日最後のシーンから
続きいきまーす」
一同「「よろしくお願いします！！」」
今は絶賛、映画『虎者−NINJAPAN−』の撮影中。
グループでの主演を務めるのは初めて。
助監督「瀬戸さん、彼ら、いい目してますよ」
「ありがとうございます。
７人全員気合いが入ってますから」
スタッフ「休憩中も台本読みしてるもんね」
大千穐楽でサプライズ発表するずっと前から
水面下で行われてきた、映画化への話し合い。
プロモーションだけであんなに
忙しいのかなって思ってた、と
言ったのは察しの良いのえるくんだったっけ。
稽古をみつつ、プロモ打合せをしつつ、
他の仕事をしつつの打合せ。
なかなか進まない話に
モヤモヤしたことは数えきれない。
でも、あのときの苦労が今、こうして
みなさんのキラキラした表情で報われている。
わたしは、彼らのあの表情を守る為に、
働いているんだ。
倉「っ、はあ」
休憩中、イスに座って、天を仰ぐ
まつくさんが声を漏らした。
彼は今、大河ドラマの撮影もあって、
誰よりも過酷なスケジュールを熟している。
「まつくさん、」
声を掛けると、
うっすらと開いた瞳がこちらを見る。
倉「ぁ、ごめん」
「謝らないで下さい。スケジュール調整が
上手く出来なくて…」
倉「いや、大河も虎者も俺の都合でずらすのは
嫌だから。誰も悪くないし、そんな顔しないで？」
ポンポン、と頭を撫でられ、まつくさんの顔に
にじみ出る疲労の色に、申し訳なさが募る。
倉「これくらいこなせないと、
ハリウッドなんかムリっしょ！ほら笑って！！」
にかっと笑ったまつくさんに言われ、
わたしも笑顔を作る。
倉「Aの笑顔がいちばんの癒しだわ〜…
あ、そうだ」
「うん？」
倉「なんか最近変な視線感じるんだよね」
トーンとボリュームを落として
言われた言葉に、身を固くする。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
