Manager Tiger5

#59　Netsuai ページ42

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「え、………っと」




バレンタインのチョコをみなさんに
渡して、そのまま向かった滝沢くんの執務室。

入るなり目に飛び込んできたものに、絶句する。




滝沢「最近どう？って世間話から
始めたいとこだけど。これが明後日の
週刊誌に載るそうなんだ」


「な………」




テーブルの上にある数枚の写真。


そこには、夜の飲み屋街と思われる路地で
腕を組みながら歩く1組のカップル。







―――――元太だ。




「元太…？」


滝沢「なんか聞いてる？」


「いえ……いつの写真でしょうか」




珍しい元太の無表情な顔。

いくつかの写真は不機嫌ともとれる顔を
しているのに気づく。

腕を組むのはドラマの共演女優さんだ。


こちらはニコニコと楽しそうにしていて、
ふたりの表情の差が気になる。




滝沢「先月…かな。まあ元太の顔を見れば
熱愛だとは思いづらいけど、向こうは
いいように書くだろうね」


「…ッ、申し訳ありません…！」




事をやっと理解した頭で、ソファに座る
滝沢くんに頭を下げる。

メンバーのスケジュールを把握しきれなく、
このような事態に陥ってしまった。




滝沢「……Aだけの責任じゃない。
マネージャーにドラマの打ち上げが
あることを言わずに行った元太も良くなかった。
とりあえず頭上げな。
Aにそんな謝られると調子狂っちゃうよ」




やっと表情を和らげた滝沢くんに
ほっとして、促されるまま向かいの
ソファに座る。

滝沢くんは、わたしが幼い頃に事務所で
宿題をしているときに教えてもらったり、
遊んでもらったり、兄のように、
第二の父のように接してくれていた。




滝沢「とりあえず、本人に事情を確認して。
俺は相手の事務所と話をする。記事の内容に
よっては出るところに出るつもりでいる。
売り出し中のタレントの名に傷つけられでも
したら黙っておけない」


「わかりました」




滝沢くんの執務室を出て、
受け取った写真を見る。

ファンの方は元太の表情で恋愛関係には
ないと判断してくれるとは思う。

でも、そうでもない人が見たら…？

それに、大好きな人のそんな写真、
見たくもないと表情まで見てくれない
可能性だってある。




「どう…しようかな」




ふう、と廊下の壁に凭れ掛かり、
眉間を揉んだ。

とりあえず、わたしがすべきことをしよう。


ぱっと目を開き、時計を確認して、
事務所の一室へ向かった。







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