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苦々しい顔をしたお父さんに、
これまでの記憶が蘇る。
目が覚めたとき、絶対に涙を見せなかった
お父さんが、初めてぽろりと涙を流した。
よかった、よかったと繰り返して泣く父に、
優しく抱きしめられ、親の愛情の深さを
再確認できた。
それから、仕事について特になにも
言ってこないお父さんだったけど、
きっとかなり心配してるんだろうと思いつつ、
わたしも何も話せないでいたけど。
父「……親としてはね。でも、同じ
マネージャーとしては、中途半端なところで
辞めたくない気持ちは痛いほどわかるから」
どこか遠い目をしたお父さんに、きっと
わたしの知らない苦労が父にはあるんだ。
わたしを男手ひとつで育てつつ、仕事も
しつつだったから、とても、大変だったと思う。
父「だから、A自身もしっかり
気を付けること。Travis Japanのみなさんは
タレントさんなんだから、ちょっと気にして
やっていただければそれだけで十分です。
決して身体を張るようなことはしないでください」
父の言葉に、わたしは深く納得した。
ちょっと気にしていただくだけで、わたしは
十分すぎるほど嬉しくてありがたいし、
身体を張ってまで守られる立場は本来逆だ。
わたしが身体を張る立場であることは
変わらないんだ。
父「―――でも、Aだって身体を張るんじゃない」
「え？」
父「お前は女の子だし、たとえ男の子であったとしても、
極力ケガせず穏便に済ませるのが最善だろう。
自分が盾になって済むなんてことじゃないぞ」
ずっと言いたかったけど気遣って言わなかったんだ、
とすっきりしたような父に、ぐっさりと言葉が
刺さったわたしは凹んでしまった。
八「パパの言う通りだぞ、Aが盾になって
うみんちゅは助かったかもしれないけど
、心の方はかなり傷ついてたんじゃない？」
中「……」
有「身体が動いちゃったんだろうけど、
これからはしっかり気を付けて行こ？」
見かねた大ちゃんが背中を
撫でながら言ってくれる。
「……みなさん、ごめんなさい……」
いろいろな意味を込めて言うと、
トラジャのみなさんは
「いやいやいや！！」と。
JUMPは「うんうん」と頷き、またもや
騒がしさを取り戻した楽屋だった。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年10月31日 16時
