俺の居場所 ページ18
ふたりで肩寄せ合ってるその隙間にも、
俺の居場所はないんだって思って悲しくなった。
ジェシーに恋してるのに
俺なんかが邪魔しちゃ、申し訳ない。
なんか泣きそうになった。
急にいたたまれなくなった俺はコンビニをすぐ出て、自分ちに向かった。
夜の風はまだ冷たい。
虫もまだ鳴かない、静かな夜。
この地球上に俺1人みたいで、早くきょもに会いたくて足早に歩いた。
買うものも忘れて、そのまま帰った。
「おそいよ、樹」
部屋の扉の前にきょもを見つけて、
すぐ家に入った。
「え、お酒は？何も買ってきてないの？」
目の前で俺のことを"信じらんない"って顔で見るきょも。
「買ってくるって言ったじゃん…まあ俺が持ってきてるからいいけど。お酒ぬるくなってても文句言わないでよね！」
「ごめん」
「てか樹って、アキちゃんとまだ続いてたんだね」
「え、なんで」
「今日見たよ、夕方。一緒にいるところ」
別に隠してるわけじゃないのに後ろめたく感じてしまうこの気持ちはなんで。
「樹ーなんかつまみ系ないの？」
きょもが冷蔵庫を物色しながら言う。
「ごめんなんもない」
「まじかよ、でも俺たちじゃ作れないしな〜」
米研げない俺と、カップラーメン作れないきょも。
ほんとどうやって生活してんだって感じだよな。
「こういうとき彼女いたらなって思うよね」
そんな悲しいこと言うなよ。
さっきコンビニで見た光景がフラッシュバックする。
「まあ仕方ないか、そのかわり今日泊めてね」
「んあ、いいけど」
探すのを諦めたきょもがラグに座り込んで、
買ってきてたらしい柿ピーを開けてボリボリ食べる。
「この時間おもしろいやつないよね」
勝手にテレビつけてチャンネル変えながらそう言う。
3本目のビールの缶を開けた。
「…そういえばさあ、ジェシーって彼女いんの？」
何気ない風、何にも思ってない風に聞く。
チラッて俺を見たきょもが「なんで？」って聞いた。
「いや…気になるじゃん」
"ふふっ、変なの、樹"
きょもが、また柿ピーを食べる手を再開させた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 723人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つき(プロフ) - sailさん» 素敵なコメントまでくださって、とてもうれしいです（ ; ; ）こちらこそ、ありがとうございました。今日はいい夢が見られそうです。 (2020年12月10日 12時) (
レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - とってもとっても素敵な作品すぎてコメントさせていただきました。ふたりのもどかしい距離にキュンキュンしました！素敵なお話をありがとうございました。 (2020年11月9日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つき
| 作成日時：2020年5月5日 0時
