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57. ページ19

「七乃の言ってる事、分かる気がする」

「へぇ…人間にもまともな奴はいるんだね、初めて知ったよ」

竦めていた肩を下ろし、細めた目で僕を見る。

「勝手に約束しておいて、破ったら文句を言う。だったらそんな約束するなよってなるのも分かるよ」

「ふ〜ん、人間でもそう思う奴はいるんだな。ま、僕には全く関係ない…いや、間接的にはあるか」

納得しようとしていたのか、うんうんと数回頷く。

そして、僕達に向き直る。

「で?それでお僕をどうしようっての?言っとくけど、僕は君達ごときの言葉で早々考えが変わったりは…」

「だけど、守る人だっている」

七乃の言葉を遮って言った。

目を見開いた七乃を真っ直ぐに見て続ける。

「約束は破る人の方が多いと思う。でもそれは世界の人口から見たらほんの一握りなんだよ?時雨君の周りにいた人はその一握りの人だった。じゃあ僕達もその中に含まれる?」

「そりゃあ含まれるでしょ?だって時雨の周りにいた奴は…」

そこでハッとしたかの様に口を自分の片手で塞ぐ。

「“いた”人って僕は言った。今僕達は時雨君の周りに“いる”から、その中には含まれない。騙してごめんね、そうでもしないと七乃は聞いてくれなさそうだから」

安心させる為、試しにへにゃっと笑ってみる。

「僕達は、まあ頼まれた事とかはもしかしたらちょっと忘れるかもしれない。でも、約束事は絶対忘れないから大丈夫。安心して」

「…はぁ、やられた。国語力だけは負けないと思ってたんだけどな」

伸びをしながら言う七乃。その顔には、最初の様な怪しい笑みはなく、ふわっとした笑顔が自然にできていた。

「まああんたらの言う事は信じてやるよ。本当に時雨の約束事は覚えとくんだな?」

「もちろん。冗談は言ってないよ?」

そっか、と言って下を見る七乃。

足元は消えている。成仏が近づいてきているらしい。

「ああ、俺消えるのか。じゃ、時雨をよろしく。あんたらならできると思うぜ」

にこりと笑う。それは消えるのを覚悟しているのかの様な表情。

「…寂しくないの?」

96さんが僕の隣に来て言う。

「寂しくは無いな、うん。でも、時雨が本当に1人で生きていけるのかが心配だけど。多分お前らがいるから大丈夫だろとは思ってる」

頭の後ろで腕を組んであくびをする。胸まで消えかかっているのに物怖じしないのが凄いと思う。

「さっき言ったみたいに、あんたらならどうにかできるさ。どっかで会ったら話しかけてくれよな、多分忘れてるだろうから」

首まで消えていた七乃は、最後にそう言って。

音も立てずに、消えた。

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いむいむ - 狐白さん» いつも嬉しいコメントありがとうございます!こちらも勇気付けられました! (12月17日 14時) (レス) id: dc78839770 (このIDを非表示/違反報告)
狐白 - あと、見捨てないです。いむいむさんに勇気づけられたから。内容も全然大丈夫ですよ!!頑張ってください!! (12月17日 0時) (レス) id: 4b6152b8a6 (このIDを非表示/違反報告)
狐白 - いむいむさん、語彙力少なくとも自分よりはあると思うので大丈夫ですよ!((ごめんなさい、自分なんかと比べるの失礼ですね (12月17日 0時) (レス) id: 4b6152b8a6 (このIDを非表示/違反報告)
いむいむ - 狐白さん» なので、勇気付けれて本望です! (12月5日 18時) (レス) id: 675fd3e6db (このIDを非表示/違反報告)
いむいむ - 狐白さん» ありがとうございます!私もたまに病んで自虐がちになるので、同じような人を助けてあげたいなって思いで作りました。 (12月5日 18時) (レス) id: 675fd3e6db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いむいむ | 作成日時:2017年11月13日 12時

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