#3 ページ39
今日は仕事が遅くなって
近道のために公園を通って帰る。
あれから何日か経った。
たまに噴水の前で本を読んだりするけど
コタローくんにもあの人達にも会うことは無かった。
夜の公園は昼間と違って怖い。
「早く帰ろ…」
足早で噴水の近くを通ると
ベンチに座る人影が見える。
ここはまだ外灯がついていて明るい。
「あ、Aさん」
ベンチに座ってた人が声をかけてくる。
「あ、亜生さん？でしたよね、こんばんわー」
「やっと会えた……」
小さく呟いて聞こえなかったが
ゆっくり立ち上がると
コタローくんは嬉しそうに私に近づいてきた。
「夜の散歩ですか？」
「はい！昼間は仕事が忙しくて
最近来れなかったんで……」
「そうなんですね、私はたまに本を読みに来てました。」
しゃがんでコタローくんを撫でる。
「そうなんや、会いたかったなあ…」
「え？」
「すみません、本音が口から漏れてました。」
子犬みたいに笑う彼が可愛くて
私は思わずつられて話し出してしまう。
「私も会えるかなって思って本なんか持っていったりして
時間潰してたんですよね……」
「ホンマに？」
立ってた亜生さんは
しゃがんで私の顔を覗き込んでくる。
夜だから暗いし外灯だけの明るさだけど
その行動にドキッとしてしまう。
「ホンマにです。」
ダメだ。この人といると私も恥ずかしいことを
サラッと言っちゃう…。
「えへへ、なんかめっちゃ嬉しい」
「あ、お兄さんはあの後大丈夫でした？」
恥ずかしくなって私は話題を変えた。
「あー兄ちゃん元気すぎて
うるさいぐらいやから大丈夫！
風邪もひかんかったし、」
「それなら良かったです。」
しゃがんでた足が痛くなってゆっくり立ち上がる。
「もう帰ります？」
「そうですね、そろそろ…」
「じゃあ途中まで送らせてもろていいですか？」
そんな上目遣いで言われたら断れないよ…。
「お願いします…。」
「よっしゃ！」
すっと立ち上がってゆっくり歩き出す。
「えっと、こっちですか？」
「ええ。」
私の歩幅にあわせて歩いてくれる。
「亜生さんもお仕事帰りですか？」
「はい、Aさんは何のお仕事してるんですか？」
「私は普通のOLです、亜生さんは？」
「Aさんってテレビとかって見たりします？」
「んー昔は見てたけどそういえば最近見てないかも…」
「そうなんですね、じゃあ今日帰ったら見て下さい！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木葉林檎(プロフ) - HATHUTAさん» コメントありがとうございます！凄く嬉しいお言葉感謝です！m(*_ _)mまたよろしくお願いいたします(*´︶`*)♥️ (2023年2月24日 15時) (
レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
HATHUTA(プロフ) - 盛山さんの長編拝読しました！林檎さん（勝手に呼んですみません）のお言葉で長くなってしまったとありましたがいい意味で読み易い長さでとてもキュンとしました。不器用ながらに真っ直ぐな感じがイメージしやすくて読んでいて入り込めました^^これからも応援してます (2023年2月11日 22時) (レス) @page36 id: f9b555f004 (このIDを非表示/違反報告)
木葉林檎(プロフ) - mさん» リクエストありがとうございます！新山さん素敵な人ですよね(^^)♪シュチュエーションなどなければそのまま書かせていただきますね┏○ﾍﾟｺｯ (2023年2月2日 4時) (レス) id: 850b8e0902 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - リクエスト失礼します！さや香の新山さんでお話書けたりしますでしょうか？？宜しくお願いします🙇🏻💧 (2023年2月2日 1時) (レス) id: cde51804fe (このIDを非表示/違反報告)
木葉林檎(プロフ) - ﾃﾝﾌﾟﾗ衣さん» リクエストに添えるかどうか分かりませんが、短編で1つ書かせていただきました！シチュエーションなどあれば是非またかかせていただきますのでよろしくお願いします🙇🏻♀️՞ (2023年1月23日 3時) (レス) id: 850b8e0902 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木葉林檎 | 作成日時：2023年1月20日 5時
