みつ鳴き ページ4
「ねぇ。何、やってるの?」
突然、部屋に凛とした、普通より高い青年の声が響いた。
「あ"?なんだ?お前。」
でも、その声は"コイツ"みたいなガサツな声じゃなくて、自然と耳に馴染むような声だった。
「何、やってるのって。僕が聞いてんだけど?」
部屋に男が増えて、不安になる筈なのに、何故かその声に安心して。
「は?」
「僕の"主人"に、何してるのって聞いてるの。日本語、わかる?」
声も出せないままだったけど、少し視線だけを其方に向けてみる。
白髪に透き通る様な白い肌。
"人"ではないような、美しい黄金の瞳。
開ききったその瞳孔は、人間とは思えないほど真ん丸で。
まるで、猫…白猫の様なひとが立っていた。
「あ、警察呼びます?一応、110番だけは主人に何回も叩き込まれたんで。その後、猫にはどうしようも出来ないのにね。」
くすくすと口だけ笑ってみせる青年の姿は恐ろしくも、美しく。
__
『ねぇ、真冬。』
『にゃ?』
『110番。覚えてね。何かあった時の為に。』
『にゃ』
『なんてね。猫がそんなこと覚えるわけないか…』
『にゃー!』
『え、できちゃったの?!あ、済みません!!間違い電話です!!!』
__
懐かしい記憶が、私の中で駆け巡る。
「ひっ…わかった。出てくから…!」
バタバタと男が出ていく。
バタンと、ドアが勢いよく閉まる音で私は我に帰った。
「あー…ごめんなさい。ご主人。怖い、ですよね。僕も出ていきますから、心配しないでください。」
止めなきゃ。
何故だか分からないけど、そう思った。
今、このひとを何処かに行かせたら、一生後悔するって。
そう思って、青年の服の裾を掴んだ。
「っ?!どうしたの。僕、もう…」
『…かないで。』
気付いたら。口に出ていた。
「え?」
『行かないで…お願い、だから。』
もう失いたくない、その気持ちが私の心に溢れそうになって。
さっきの男とは違った、何か人間離れした見た目だからだろうか……?
この青年を
真冬だと、思った。
私が情けない声で、情けない言葉を投げかけると、青年はふっと微笑んで
「貴女が望んでくれるなら、僕は何処にも行きません。」
と言った。
その言葉で、色々な緊張の糸が切れて私は倒れ込むように眠ってしまった。
情けない、へにゃっとした顔で倒れてしまったと思う。
でも、体を打ち付けた痛みは無かったので、きっとあの青年が…真冬が、受け止めてくれたのだろう。
何だか、嬉しいな。
今は、おやすみ。
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妖狐(メス)(プロフ) - 瑠理菜さん» ごめんなさい、作者の都合で途中で終わってしまったんです…… (2019年8月16日 14時) (レス) id: e2e1cb6c3e (このIDを非表示/違反報告)
瑠理菜 - 終わり方.........。 (2019年4月3日 13時) (レス) id: 3e7e48236e (このIDを非表示/違反報告)
miko-みこ-(プロフ) - 妖狐(メス)さん» 応援してる人にそんな事言われるなんて…天国かよ。いや、夢か? 本当に妖狐様と会話してるなんて…こんな幸せがあっていいのか?手が震えて来た…!腕が疼くっ! ごめんなさい本当に妖狐さん好きすぎる。夜のテンションやべぇ (2018年7月29日 23時) (レス) id: 680ed7089d (このIDを非表示/違反報告)
妖狐(メス)(プロフ) - miko-みこ-さん» え、優しいかよ…私のテンション好きとか…優しいかよ…ナメクジ更新許してくれるとか……優しいかよ。 (2018年7月29日 23時) (レス) id: 3918bf993d (このIDを非表示/違反報告)
miko-みこ-(プロフ) - 妖狐(メス)さん» レスありがとうございますぅ!踊っていただけるのなら次は躍り手デビューですかね(( コメントの許可をいただけるなんて…ハァハァ 更新速度?その間ずっと楽しみにしていられるので大丈夫です! やっぱり妖狐様のテンション好きです! (2018年7月29日 23時) (レス) id: 680ed7089d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:妖狐(メス)@自分の名前を思い出した。 | 作成日時:2018年6月30日 22時