十七 ページ17
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案の定、溜まりに溜まった仕事が終わったのは、職場に返ってきて数日後だった。
運よく明日は非番だ。
とはいっても、
「急遽対応してくれて助かった。明日は休め」
松平が直々に休みを取るように上司に伝言してきたのだ。
これまで溜まった仕事をある程度片付けたこともあり、上司は嫌そうな顔をしながらそれを話してきた。
休みをくれたことを松平に礼を言えば、
「ああ?まだ休んでなかったのか。
俺は帰ってきて次の日を休みにしろっつったのにあいつ…」
彼は不機嫌そうな声をあげていた。
どうやら上司は自分の不手際をAに回収させるために、独自の判断で変えていたらしい。
ぶつぶつと聞こえる松平の愚痴に、どれほど叱られるのだろうと、くくと笑いが零れた。
それを聞いて安心したのか、松平はふうと大きく息を吐いた。
「…で。お前達はどこまでいったんだあ」
間延びした声に、帰路を歩く足が止まる。
「な…んのことでしょうか」
「とぼけんな。大体の話は近藤から聞いてる。
せっかく気ぃ遣わせて一緒にしてやったのに」
しらを切るも上手くいかず、むしろ不利になっていく。
早くやることやってしまえとかあいつは上手いのかとか、不躾なことばかりが聞こえてきて、思わず携帯から耳を話す。
そんな時だ。
(あっ)
家の前で大きく手を振る女が一人。
止まっていた足は思わず走り出していて。
近づけば近づくほどに、Aを安心させる笑顔がきらきらと輝いていく。
「す、すみません!来客があるので失礼します!」
「おい、逃げるな。トシとの話を聞かせ」
「お休みを下さり感謝致します!」
捲し立てるようにして話を終え、通話を切る。
そのまま飛び込むように彼女に抱き着けば、
「久しぶり!!」
「おかえり、A!」
千影も嬉しそうに抱き返してくれた。
そして、その後ろから、
「おーおー。熱い友情だこと」
けだるそうに拍手をする茶髪の男が一人。
彼の手には酒や食料が入った袋があって、さらに彼の後ろを見れば
「お目当ての人なら、後から合流ですぜ」
沖田と千影はにやにやと笑みを浮かべる。
彼らは図ったかのようにそれぞれAの肩を抱く。
「期待しちゃった?」
「そう慌てんでもちゃんと来やすから」
「もー二人とも…!家入れてやんないよ」
懐かしい感覚に喜びを覚えながら鍵を回した。
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Nattu(プロフ) - amefurasi750さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです;;銀魂のキャラはどの子も魅力的なので自分もそれをあまり崩したくない意識で書いていました^^どストライクとのお言葉嬉しすぎます;;本当にありがとうございました! (2022年12月13日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
amefurasi750(プロフ) - ありがとうございました!すごく心に残る話で、土方さんや沖田君たちの性格がそのままで安心して読むことができました!尚且つ土方さんと主人公ちゃんとのイチャイチャ具合がドストライクでした! (2022年12月8日 8時) (レス) @page32 id: 0bed4b2b02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2022年9月1日 23時