十五 ページ15
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Aはすぐに部屋へとやってきた。
「お疲れ様です！お邪魔します」
いつもに増してにこにこしながら、彼女は部屋に入ってくる。
その手にはジュースが二つ。
明日のことを考えて酒を選ばないあたり、Aらしい。
ずかずかと部屋に入り込んで勝手にベッドに座る。
ジュースを乱暴に受け取って、少し距離を開けて隣に座った。
すると、女は土方の顔を覗き込んできた。
「土方さんが意識してくれてるなんて嬉しいです」
私だけかと思ってた、と彼女は小声で言う。
その照れ笑いが愛おしい。
(久しぶりに二人で、近くで見れた)
会えない間に少しだけ伸びた髪に触れたくなるのを、明日はまだ仕事だという現実が留める。
ぐいと勢いよくジュースを飲んだ。
その土方の姿を見て、Aは少し悲しそうに笑う。
「私、今の職場に配属になってまだまだですけど、
もう一番隊が恋しくなってる自分がいるんです」
電話では、意気揚々と大丈夫だとかしっかりやれているだとか話しているのは聞いていた。
しかし、表情も分からない声だけの状態で、その本心は分からないままだった。
互いの想いを知っているとはいえ、異なる職場で互いの状況もあまり知らない。
遠距離であり、上司でもあるという関係性に、きっとAは遠慮していたのだろう。
判断材料も少ない状態に土方はAの言葉そのままを受け取りながら、少しだけ心配していた。
それをやっと目の前で見ることができた。
元気よく話していた彼女の影はおろか、丸い目には薄らと涙が溜まっている。
Aは、不意にその涙を拭い、へらへらと笑いだす。
「ってごめんなさい。せっかく昇進したってのに弱音吐くのよくないですね。
土方さんだって栄転だって褒めてくれたのに」
(目の前に本人がいるというのに、何故強がる必要があるのか)
落ち込んでいる愛した女に、何もしないわけがない。
「誰だって弱音くらい吐く。
少なくとも、俺の前では素のAでいろ」
距離を詰め、Aの顔を掌で包む。
涙で濡れた目で驚いた顔で土方を見た後、すぐに目を逸らす。
初心な姿も変わらない。
胸がきゅうと締め付けられるような感じがして、土方も釣られて目を逸らす。
あまり言うこともないストレートな言葉に、今になって羞恥心が湧く。
急に乾いた喉を潤すようにしてジュースを飲めば、
「…益々好きにさせないでくださいよ」
口の中で弾けるようにして泡が暴れていた。
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Nattu(プロフ) - amefurasi750さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです;;銀魂のキャラはどの子も魅力的なので自分もそれをあまり崩したくない意識で書いていました^^どストライクとのお言葉嬉しすぎます;;本当にありがとうございました！ (2022年12月13日 0時) (
レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
amefurasi750(プロフ) - ありがとうございました！すごく心に残る話で、土方さんや沖田君たちの性格がそのままで安心して読むことができました！尚且つ土方さんと主人公ちゃんとのイチャイチャ具合がドストライクでした！ (2022年12月8日 8時) (レス) @page32 id: 0bed4b2b02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年9月1日 23時
