雨降る夜に待ち合わせを【桃】 (ページ33)

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『じゃあ、正式に友達になったことですし下の名前で呼んでいいですか？』
　
　
「はい。改めまして、神田Aです。よろしくお願いします」
　
　
『Aちゃん、おっけ！俺の名前は、』
　
　
「小瀧望くん、ですよね？既に存じ上げております」
　
　
『いや～、改めて照れるわ～(笑)』
　
　
「あ、でも、私はまだ下の名前で呼べそうにないので、とりあえず小瀧”くん”で」
　
　
『全然いいです！むしろいいです！』
　
　
　
ついつい笑ってしまう
　
　

「そういえば私たちずっと敬語ですね、タメ口で大丈夫ですよ」
　
　
『そう言ってるAちゃんが敬語やん』
　
　
「あ、本当だ(笑)」
　
　
『慣れたら！慣れたらタメ口でいきます』
　
　
「じゃあ、私も」

　

ここには優しい空気が流れてる気がする
　
　
それくらい今がとても心地よかった
　
　
　
その後も、絶えず色んな話をした
　
　
休みの日には何してるとか、趣味は何とか
　
　
それから小瀧くんの仕事の話とか
　
　
色々話してくれた中でグループの仲間の話をしている小瀧くんは
　
　
すごく楽しそうな顔をしていた
　
　
　
『それで、その濵ちゃんに俺がめっちゃ服あげたり！お下がりじゃ無くてもはやお上がりや言うて(笑)』
　
　
「んふふっ」
　
　
『あとは～』
　
　
「うんうん」
　
　
『なんかAちゃん、ずっと笑顔で聞いてくれるからつい色々話しちゃうわ』
　
　
「だって小瀧くんが楽しそうに話してくれるから、私も楽しくて」
　
　
『そんな楽しそうでした？』
　
　
「はい、とっても(笑)」
　
　
『でも、良かった』
　
　
「良かった？」
　
　
『うん、俺正直さっきお茶被って良かったなって思ってます』
　
　
「え？！」
　
　
『だって、あれが無かったら今頃普通にカレーご馳走になって、そのまま帰って、お礼のメールして多分終わりやった訳やないですか。お互い何も知らないまま友達なんかにもなってなくて。だから良かったなって』
　
　

確かに
　
　
あの一連がなかったら、今頃私はモヤモヤしたままだっただろうな
　
　
それからはもう一切小瀧くんとは連絡は取らず、会うことも無かっただろうな
　
　
運命って本当にあるのかもしれない
　

　
矛盾してるけど、本当は少しだけ小瀧くんに近づきたかった

芸能人だからとかじゃ無くて、普通に顔見知りで終わりたくなかった
　
　

たぶん気になっていたから