転生したら幼児でした 2

70話 ページ29

私って、人を救う側に立ちたいって。転生してからはそれを目標にしてきたよね。

でもさ。

敦くんと最初に出会った路地裏でも。
鏡花ちゃんと出会って、何とかしてあげたいと思ったときも。

何か、してあげられたっけ。私、なにかしたかな。それ相応の覚悟を持って、敦くんや鏡花ちゃんの為に、何かを成し遂げる事ができただろうか。

否、何もしてない。できてない。

それどころか、心配の仕方も適当っていうか。助けられなかったとしても、その時の状況で、まぁしょうがなかったかみたいな感じに流して全然本気で悔しがったりしてない。


ポートマフィアから脱出するときも、太宰さんの事気にかけてたっけ。いや、あの人の場合、銃にあたるとかそういうの、気にしなくてもいいんだろうけど。

敦くんや探偵社のみんなはきっとそういう所は冷めてない。

ナオミさんだって、あの場で背中を撃たれて倒れてたって事は、誰かを庇ったってこと。

谷崎さんはナオミさんが撃たれたことを本気で心配して、怒ってた。

敦くんは無謀にも異能を操る芥川さんにつっこんでいったし。

鏡花ちゃんだって、電車に被害を出さないために、自分のせいで被害者が出ないようにとびおりようとしていた。


私に、同じ事ができるかな。


本気で可哀想だと思ったことはあるけれど、本気で心配したり、本気でその人の為に怒ったり、身を呈して人を守ったりしてない。


私は本当に─



─本当に人助けがしたいと思っているのかな。


─────────────────────
えーっと、米国の異能集団の長っぽい人が来ました。

「Aさん、お客様にお茶を入れて差し上げて？

あのお客様、なんのなくナオミ好きじゃありませんわ。お茶の中に鈴蘭を添えてもよろしくてよ？」

「ナオミさん、それ駄目です。普通に淹れますね。」

まぁ私もあのお客様が何となく嫌なのはナオミさんと同感なので、そこには突っ込まないけれど。
ていうか敦くんに懸賞金かけた張本人だし。

だとしても鈴蘭はマズイのではないか。下手したら、いや下手しなくても死にますけど。

こわっ。


私は適当にお茶を選んで、ナオミさんに教わった淹れ方で淹れる。そしてお盆を持って、応接室に持っていった。

「ほほぉ、日本ではこんな小さな子供も働いているのか。」

お客様はそう言いましたけど、
「いえ、ここだけだと思いますよ。」

うん、ここだけ。普通働かせてもらうなんてできません。この年では。

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