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45話 ページ2

医務室のドアが空いて、中から与謝野女医が出てきた。

「目覚めたよ。」

「聴取はできそうですか?」

「あぁ、問題無い。」

鏡花ちゃんが目覚めたらしい。事情聴取を行う為、私は国木田さんと敦君と一緒に医務室へと入っていった。

寝台に寝かされた鏡花ちゃんは、ただ天井を見つめている。

「大丈夫?えぇっと…ここは、探偵社の医務室だよ。具合は、どう?
僕の事、覚えるよね…?」

敦君がそう話しかけるが、鏡花ちゃんは反応を示さなかった。

ただ天井を見つめている鏡花ちゃんに国木田さんは、
「娘。黒幕の名を吐け。」
そう言った。

「鏡花ちゃんは目覚めてすぐですし、いきなり聴くのもどうかと思いますよ?国木田さん。」

そう言ったけれど、無視された。悲し。

「ポートマフィアの部隊はうわばみと同じだ。頭を潰さん限り進み続ける。

答えろ。お前の上は誰だ。」

目元がいつもより険しい感じだ。

「く、国木田さん…。」

「そんなに厳しく…いや、言ってしまう気持ちは分かりますよ?情報は吐かせたいですよね。

でも、私は鏡花ちゃんの気持ちもよく分かるんです。だからその辺…。」

「橘堂の湯豆腐。」

続きを言おうとしたけれど、鏡花ちゃんのその言葉に遮られた。鏡花ちゃんは言った。

「おいしい。」

国木田さんは腕を組みながら言った。

「食わせろ、という事か。」

「食べたら話す。」

敦君は「なぁんだ。いいよ、それくらい。」と笑顔で言ったけれど。
ちょっと待って、橘堂?
転生してから数日が立ったが、この数日間でこの街については随分勉強した方だと思う。だから橘堂も知っているけど。
あそこ、すっごく高かったような。

国木田さんの方を見てみると、「嘘だろ、こいつ!?」みたいな顔で敦くんの方を見ていた。
あぁ、やっぱり高いんだ…。

「敦君、先に宣言しときます。私は払いませんからね。」

「Aちゃんに払わせようなんて思ってないけど…。」



橘堂。和風な造りで、庭も綺麗に手入れされている、いかにも高そうなお食事処である。
…どこかの偉い人たちがこういう所で食べそう。

そこのとある一室で、湯豆腐が入った鍋がコトコトなっている。

お茶を飲む国木田さんと私。黙々と湯豆腐を食べる鏡花ちゃんと、おしながきを手に震える敦君。

「おかわり。」

鏡花ちゃんのその言葉に、敦君がひぇ〜!と情けない声を出して震え上がった。

「私言いましたよね。払わないって。」

「俺も払わんからな。」

私と国木田さんは助けを求める敦君から目線をそらした。

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あーちゃん(プロフ) - 78話のヒロイン達のお話の題名はどのような題名なのですか? (2019年6月12日 0時) (レス) id: 32e2eab4af (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ麻呂(とよ)(プロフ) - 今更ですが、女医で、せんせいと読む事にしておいて下さい…。 (2019年3月1日 11時) (レス) id: 06dfc878d9 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ麻呂(とよ)(プロフ) - 鼠ちんさん» なるほど…。今後夢主ちゃんに毒を使わせるときはそうさせていただきます!調べて頂き、ありがとうございます! (2019年2月26日 20時) (レス) id: 06dfc878d9 (このIDを非表示/違反報告)
鼠ちん(プロフ) - 調べました所トリカブトに含まれる毒性物質の致死量は2~6mgだそうで、トリカブトが4mgでもこれだけの量が含まれている事が多いのでそこまで薄めることは専用の機材でもない限り不可能かと思いますの体重1kgに対し0.3mgの鈴蘭はいかがです?いや猛毒には変わりないですが (2019年2月26日 20時) (レス) id: 1616c0402d (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ麻呂(とよ)(プロフ) - 今回の様によく知らないくせに使ってる…みたいな所がございましたら、どうぞ現実的なツッコミをいれてくだされば…。 (2019年2月26日 17時) (レス) id: 06dfc878d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましゅ麻呂(とよ) | 作成日時:2019年2月22日 19時

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