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蝶が二頭 ページ3
「数学難しかったんだよね‼」
「確かに…エクトプラズム先生容赦ないもんね」
「帰ったら復習しないとやばいんだよね‼」
隣で騒いでるミリオを横目に、俺は空を見上げた
真っ赤に色づいた空に、カラスが鳴きながら飛んでいる
もう結構遅い時間の為、春の今、直にすぐに暗くなるだろう
＿＿コツン。
道端の石っころを軽く蹴った
何も変わらない日常
強いて言うなら、今日のお茶に茶柱が立ってたことくらい
ただ淡々と流れていく毎日に飽き飽きする
何か無いかな〜
いや、事件とかじゃなくて…
「キャァァァァァヴィランよ‼ヒーローはまだ⁉」
うわ…
「…ねぇミリ「環は他の人を避難させてほしいんだよね‼」…ハァ」
真っ先に走っていった彼の背中を見ながら、俺もまた走り出した
「そこを右に曲がってください」
「ありがとうございます‼」
「君もすぐ避難してね」
「で、でもあそこにまだお母さんが…‼」
「…じゃあ俺がお母さん連れてくるから待ってて」
今回の事件は強盗
ヴィランは銀行に引きこもっている
この少年のお母さんは、人質にはされてないものの逃げ遅れてしまったらしい
一番まずい
もしミリオやヒーローがその人を見つけられず
人質だけを救って建物ごと攻撃をしてしまったら…
そんなことを考えながら建物に入る
砂埃に咳き込みながらも、避難用通路を駆け上がった
一階、二階、三階…あとは、屋上
年季の入った重々しい扉を開けると、眩しい夕日が飛び込んできて目を瞑る
再び目を開けると、扉が開いたことで周りを警戒している女性と目があった
ただ、女性の方は俺が見えてないのか徐々に後ろに下がっていく
……視覚障害、か
その時、とうとう淵まで下がってしまった女性が、足を踏み外した
「⁉危ない‼」
落ちていく女性に今日昼に食べたタコの右手を伸ばしながら、俺も続くように飛び降りる
いける…‼
「キャァッ」
「大丈夫ですか⁉」
ギリギリ様キャッチした女性を地面に降ろした
周りが歓声で賑わう中、さっきの少年が駆け寄ってきた
「お母さん‼」
「瑛人‼」
抱き合う二人を横目に立ち上がった
「さっきのお兄ちゃん‼ありがとう‼」
「そんな…俺なんか全然だし…」
その時
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作者名：奏 | 作成日時：2021年11月26日 0時
